損害保険ジャパン日本興亜は、高齢者をはじめとする地域住民の移動支援を後押しするため、業界初(※)となる「移動支援サービス専用自動車保険」を開発し、7月から販売する。
※ボランティアドライバー等が自ら所有する自動車で移動支援サービスを提供している間の事故を、事業者側が加入する「移動支援サービス専用自動車保険」で優先して補償する点が業界初(損保ジャパン日本興亜調べ)。
[商品開発の背景]
地域交通の持続可能性や、運転免許返納後の移動手段の確保といった課題に関して、公共交通が十分でない中山間地域や過疎地域では、高齢者をはじめ、買い物や通院など、日常の移動に不自由している人たちがいる。
道路運送法では、「自家用有償旅客運送(※1)」 や「許可・登録を要しない輸送(※2)」として、市町村やNPO法人等を運営主体(以下、移動支援サービス提供団体)とする自家用車での輸送を認めており、自家用車に依存しなくても生活できる環境づくりのため、公共交通を補完する移動手段の確保は、今後重要性を増すものと考えられる。
一方、有志のドライバーなど(以下、ボランティアドライバー)が自ら所有する自家用車を持ち込んで移動支援サービスを提供している場合、事故が発生した際には、ボランティアドライバー自身が契約する自動車保険を使用することとなり、これがドライバー確保のうえでの一つの課題となっている。
国土交通省の「高齢者の移動手段の確保に関する検討会(※3)」においても、高齢者の移動ニーズに対応した輸送環境の整備のため、「移動支援サービス提供団体が、サービス提供中の事故に備えて手配できる保険」の必要性が議論されてきた。
そこで、損保ジャパン日本興亜は、地域における移動支援の実現を後押しするため、「移動支援サービス専用自動車保険」を開発した。
※1・※2「自家用有償旅客運送」と「道路運送法の許可・登録を要しない輸送」:バス・タクシー以外の地域の移動手段として、市町村やNPO等が提供する輸送形態。
・ 自家用有償旅客運送:必要な安全上の措置をとったうえで、市町村やNPO法人等が道路運送法に基づく登録を行い、自家用車を用いて提供する運送サービス。安全・安心を確保するための措置として、①安全確保(2種免許または1種免許+講習、運行管理の責任者の選任等)、②利用者保護(対価掲示)が求められる。
・ 道路運送法の許可・登録を要しない輸送:地域の移動手段の確保のため、道路運送法の許可または登録を要しない助け合いによる運送。
※3:国土交通省「高齢者の移動手段の確保に関する検討会 中間とりまとめ<http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000084.html>」参照。
[移動支援サービス(※)専用自動車保険の概要]
※「移動支援サービス」とは、移動支援サービス提供団体の指示により、事前に登録されたボランティアドライバー等(以下、「登録ドライバー」)が自動車に利用者を同乗させ、出発地から目的地まで利用者を移動させるサービスをいう。
(1)商品の概要
登録ドライバーが自ら所有する自動車を移動支援サービスに使用している間の事故については、「移動支援サービス専用自動車保険」から優先して保険金を支払う。これにより、この自動車保険の補償する範囲においては、登録ドライバー自身が契約している自動車保険を使用する必要がなくなる。
<契約者・記名被保険者>
移動支援サービス提供団体(※)
※:移動支援サービス提供団体が自ら移動支援サービスを提供していること、登録ドライバー・契約自動車等を管理する能力を十分に有していること等の条件がある。
<対象自動車>
登録ドライバー等が所有する自動車(記名被保険者が事前に承認したもの)。
<対象事故>
移動支援サービスのために自宅を出発した時から自宅に帰着した時までの間に発生した事故。
(注)移動支援サービスの提供を行うにあたり、その合理的な経路を著しく逸脱している場合を除く。
(2)販売開始時期
2019年7月1日以降の保険始期契約から。
[今後について]
地域交通については、未来投資会議(※)においても、自家用有償旅客運送の制度を利用しやすくするための見直しが議論されていることから、今後さまざまな形態が広がっていくことが見込まれることから、損保ジャパン日本興亜では、今後も社会課題をいち早く捉えた保険商品やサービスを開発していくとしている。
※)未来投資会議(官邸HP、第24回(2019年3月7日)および第28回(2019年6月5日)< http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/>参照)。