損害保険ジャパンは4月12日、空飛ぶクルマ( 世界的には、eVTOL/electric Vertical Take-off and Landing:垂直離発着機と呼ばれる )産業の成長への貢献を目指して「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」を開発し販売を開始する。
空飛ぶクルマは、(1)垂直離発着が可能で滑走路が不要、(2)電動化、(3)将来的な操縦の自動化等が特徴としてあげられる。ヘリコプターに比べて電動化による製造コスト・運用コストの低減が期待でき、今後の世界的普及が期待される。
1.開発の背景
「100年に一度のMobility革命」とも言われる空飛ぶクルマの事業化は、広大な「空」を活用することで、地上交通インフラの影響を受けないという特長を活かし、戦後の自動車の普及( モータリゼーション )と同様に全く新しい社会を生み出し、多くの社会課題を解決するポテンシャルを秘めている。
損保ジャパンの空飛ぶクルマに係る取組み概要は以下の通り
・空の移動革命に向けた官民協議会に参画し、地方自治体とプロジェクトで連携
・有望スタートアップメーカーである株式会社SkyDriveに出資し、包括的な業務提携
・岡山県倉敷市の航空・自動車関連企業などで組織する「MASC( マスク )」が大分市で行った空飛ぶクルマの試験飛行用に機体保険を開発・提供し、国内での空飛ぶクルマの安定した保険制度づくり
・2025年日本国際博覧会( 大阪・関西万博 )に向け丸紅株式会社が実施する実証実験でも協賛・協力会社としてリスクアセスメントを実施
しかし一方で、空飛ぶクルマの国内に於ける社会実装と普及には、いまだ多くの課題がある。例えば、事業者が抱えるリスクが、機体の運行リスクだけでなく、機体製造やポート管理に関わる賠償責任等多岐にわたることもその一つとなる。
損保ジャパンでは、保険事業とその先にある安心・安全・健康の領域で、顧客に価値ある商品・サービスを創造し、社会に貢献していくことをミッションに掲げ、これまでも保険事業と親和性の高い防災・減災、各種モビリティ分野への参入や社会実装に向けた取組みを続けてきたという。
同社では、空飛ぶクルマ事業への参入に挑戦する事業者が抱えるリスクを幅広くサポートすることで事業化を促進し、社会課題を解決し得る新しいモビリティ社会の発展に貢献することは、そのミッション実現に繫がると考え、空飛ぶクルマ事業者の賠償リスクを包括的にカバーする「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」を開発して販売を開始した。
商品開発にあたっては、固有の海外の再保険会社との再保険スキームを新たに構築することで、参入事業者を安定的かつ長期的にサポートできる保険制度としている。
2.商品の概要
機体、部品、その他関連機器等の製造・加工・整備・販売に関わる製造物責任やバーティポートの管理運営に関わる賠償責任等を包括的に補償する。※機体の運行リスクを補償する保険は、2023年2月に販売し、引受を開始済み。
3.今後について
損保ジャパンは、「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」の提供を通じて、新しいモビリティ社会の発展に貢献すると共に、今後も多くの企業と連携していくことで、事業化に関連するリスクへの知見を高め、保険と事故防止の両面で高い顧客サービスを実現し、空飛ぶクルマの安心・安全な社会実装を支援していく。
最後に同社は、「〝お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献〟するというグループ経営理念の実現に向け、ブランドスローガン〝Innovation for Wellbeing〟に即した商品の開発を通じ、今後も社会の健全な発展に資する新たな保険・サービスの提供により、サステナブルな社会の実現に貢献していきます」と結んでいる。