損害保険ジャパン、DeNA(ディー・エヌ・エー)、DeNA SOMPO Mobilityの3社は11月6日、「共同使用」モデルのカーシェアリングを活用することで自治体における災害支援車両不足を補う災害連携の可能性を検討すると発表した。災害時の車両不足をシェアリングで解消し、あわせて電気自動車(EV)での電源確保も目指していくというもの。
近年、国内各地ではゲリラ豪雨や過去最大級の台風など大規模な災害が頻発しており、自治体には災害時の対応能力を強化することが求められている。しかしこれまでは、災害対応に必要な人員や資材などのリソースが必ずしも十分に確保できないケースが多かった。とくに、災害発生時は被災エリアの状況確認や復興支援のため、多くの災害支援車両が必要になるが、公用車のみでは急激な需要を賄いきれないという課題が指摘されていた。
SOMPOホールディングスとDeNAの合弁会社であるDeNA SOMPO Mobilityは、個人間で車両をカーシェアアリングできるサービス「エニカ(Anyca)」を運営しており、2020年8月からは企業や自治体などの法人車両をシェアできる実証実験を本格的に開始している。
この仕組みを活用し、自治体と民間企業の連携が実現すれば、災害時の車両不足や電源確保という課題を解消できる可能性があるため、今回の3社共同検討に至ったものである。
今回の検討事項について、損保ジャパンとDeNA DeNA SOMPO Mobilityは、「通常時は社有車として利用している車両を災害時にのみ災害時協力車両としてカーシェアリングにて提供する仕組み」の有用性を検討していく。この「共同使用」の仕組みによりDeNA SOMPO Mobilityの「エニカ」に損保ジャパンが保有する社有車を登録し、災害時に協力車両として活用するための運用スキームの構築と実運用に向けた課題の抽出及び対策検討を行ってい。災害発生時は、自治体職員に「エニカ」を通じて、損保ジャパンの車両を被災地などへの移動に活用してもらう。
DeNAは、カーシェアリング対象車両のうち、電力供給可能なEV、PHV(プラグインハイブリッド自動車)、FCV(燃料電池自動車)、および利用可能な充電器・給電機に関わる情報を管理し、被災地の状況に応じた適切なEV派遣を支援するための仕組みを検討する。
これは、過去の災害において、被災地での移動および電源確保の両面で実績があるEVを有効に活用するための取り組みとなる。
この共同検討の第一弾として、横浜市と「災害連携の検討に関する協定書」が10月30日に締結済みだ。これに基づき、災害時の官民連携に関する検討が開始している。今後は、民間企業や一般市民の参画による官民連携の災害支援活動を促進し、今後のまちづくりにおける災害レジリエンス(強靭化)向上を目指していくとのことだ。