NEXT MOBILITY

MENU

2025年1月17日【IoT】

シャープ他、AIロボットを介した高齢運転の支援実証を開始

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

シャープ1月17日、モバイル型ロボットを活用した高齢ドライバー向け運転支援ソリューションの実証を開始する。

 

より具体的には、住友商事名古屋大学未来社会創造機構、名古屋大学発ベンチャーのポットスチル、シャープの4者が、NPO法人高齢者安全運転支援研究会と大阪府の八尾自動車教習所の協力の下、公道でシャープのモバイル型ロボット「RoBoHoN( ロボホン )」を活用した高齢ドライバ向け運転支援ソリューションの実証を行う。

 

これはドライバエージェントシステムを組み込んだAI会話ロボット「ロボホン」を活用する高齢ドライバ向け運転支援ソリューション実証。まずは2025年1月23日と28日に、大阪府の一部の公道で先行実施する。

 

 

ちなみに、このドライバエージェントシステムとは、スマートフォン、ロボット、クラウドを連動させ日常運転のパートナーとして安全運転への改善をサポートするもの。またロボホンは、シャープが開発した通信機能を持つ対話型ロボット。音声対話で操作でき、歌やダンス、留守番機能、AIの実装など、開発が深まるにつれ、様々な機能を搭載するに至った。

 

 

更に上記の先行実証で一定の取得情報と検証を済ませた後、同じ年の4月からは全国の公道でも同様の実証を行っていく。そして最終的には、これら地域毎の多角的な実証を経て2025年度中にプレサービスを提供。最終的には2026年度中の商用化を目指す。

 

なお、こうした取り組みを行う背景には、超高齢化社会に於いて、高齢ドライバによる交通事故が深刻な社会問題となっており、安全運転を支援する仕組みの整備が急務となっているためだ。

 

だからといって高齢者のクルマを運転を抑制することは、車での移動が欠かせない地方などでは難しく、そうした多くの地域では、高齢者の移動手段を維持・確保するための方策づくりも求められている現状がある。

 

 

そうした喫緊の課題が叫ばれているなかで、名古屋大学未来社会創造機構は、2016年から「名古屋大学COIプロジェクト」などを経て、ドライバエージェントシステムによる運転支援の研究を継続的に進めてきた。

 

この「名古屋大学COIプロジェクト」とは、2013年から2021年に掛けて文部科学省と国立研究開発法人科学技術振興機構の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の採択を受けた名古屋大学が、「高齢者が元気になるモビリティ社会」の実現に向けて実施した大学、企業、自治体、市民と取り組む社会実装に取り組むプロジェクトだ。

 

 

この取り組みのなかでは、高齢者が運転中にドライバエージェントシステムを介して、自身の危険な運転行動への気づき(自己認識)を促すこと。運転行動を評価し客観的に振り返ること。同乗者の存在により事故率が低下する同乗者効果を利用すること。などの運転行動改善効果について実証実験を通じて鋭意検証してきた(注・リンク先は英語となる)。

 

そこで、これまでに得られたドライバエージェント研究の成果・知見の実用化を更に加速させるべく今回は4者で連携、まず2025年1月に大阪府の公道にて一般高齢ドライバを対象とした運転改善効果の実証実験を実施する。そして2025年4月から5月に掛け、全国のロボホンオーナーを対象に、改良を加えたドライバエージェントシステムを用いた新たな実証実験を全国で行うという流れだ。

 

今回の参画4者は、ロボホンを利用した同実証実験を通じて、注意喚起や運転行動への示唆などの「運転中の支援」に加え、運転後にも運転評価などの「振り返り支援」を行うことで、ドライバに危険な運転への気付きを与え安全運転を促し、ドライバの行動変容効果を検証する。

 

ロボホンが同乗することで、単なる音声ナビ機能などでは得られない同乗者効果の他、ドライバエージェントシステムによる運転評価やアドバイスの受容性が高まることが大いに期待されると4者では結んでいる。

 

実証実験の概要は以下の通り

——————————————-

(1)先行実証実験
– 実証期間:2025年1月23日(メディア関係者向け体験会を含む)、28日
– 対象者:高齢ドライバ18名
– 実施場所:大阪府八尾市内の指定されたルート(八尾自動車教習所周辺)

 

(2)全国実証実験
– 実証期間:2025年4月1日~5月31日の2カ月間
– 対象者:高齢ドライバ20名
– 実施場所:全国の公道(ルート指定なし)

——————————————-

 

最後に4者は、当該実証で得られた知見を生かし、より安全な運転を促す「運転支援ソリューション」の開発に取り組み、2025年度中のプレサービス提供開始、2026年度中の商用化を目指すと話している。

 

シャープ株式会社 / お客様ご相談窓口:biz-robohon@sharp.co.jp

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。