セイコーグループのセイコーソリューションズは5月19日、市販のドライブレコーダーの録画データから、AIによる分析で簡易な事故形態の判定と基本過失割合の算出ができる「事故状況推定システム」を開発し、自動車保険を取り扱う損害保険会社、共済向けにサービスの提供を開始すると発表した。
自動車事故の際の示談交渉においては、長年、客観的情報の不足などで正確な事故状況の把握が難しく、交渉には相当の困難を伴うため、事案解決の長期化・難化が課題となっていた。また、事故を起こした本人が、自ら状況説明や証明を行うことには精神的な負担が伴う。近年はドライブレコーダーの登場・普及により、事故状況が正確に記録できるようになってきた一方、映像から事故状況を把握するのにはスキルを持った人材と時間が必要となることが、損害保険会社においては新たな課題となっている。
そうした背景を受け、セイコーソリューションズでは、AIやテレマティクス、DB照会などシステム事業で培ったノウハウを反映した「事故状況推定システム」の開発に至ったという。
「事故状況推定システム」は、ウタゴエと共同で開発したAI画像処理技術を用い、ドライブレコーダーの録画データから「交差点形態」「自車・相手車の進行方向」「信号機の有無・色」を識別・抽出し、過去の判決事例をもとに作成したデータベースとパターンマッチングすることで、事故形態と基本過失割合、事故状況図を出力。これにより、誰でも客観的かつスピーディーに事故状況の判定が可能となる。さらに、事故状況の理解を助ける、3D化した主観・俯瞰視点のシミュレーター映像をダウンロードできる。
AI判定によって抽出された事故状況は手入力での補正も可能となっており、判定が間違っていた場合は修正が可能。ドライブレコーダー映像がない場合にも、条件を手入力することでデータベースとのマッチングを活用することができるとのことだ。
【画面イメージ】
同製品は、専用のドライブレコーダーが必要な判定サービスと異なり、映像情報のみで判定を行えるため、市販のドライブレコーダーに幅広く対応できる点も特長。同社では保険に加入している契約者に対し、迅速かつ負担の少ない事故解決を提供することが可能となるとしている。
<事故状況推定システム 概要>
【提供開始日】2021年5月19日
【主な特長】
・ドライブレコーダー映像から事故状況判定要素(交差点形態、車両進行方向、信号機)をAIが判定
・判定された要素から事故状況を推定し、事故状況図とシミュレーション映像、基本割合を表示
・映像情報のみで判定できるため、市販のドライブレコーダーに幅広く対応可能
・事故状況判定要素の手動入力・修正が可能。(ドラレコの映像がない場合も手動条件入力で判定可)
・事故解決の迅速化と対応業務のスマート化(デジタル化)を実現
【対象】自動車保険を取り扱う損害保険会社、共済など
【システム概要図】