債務削減の見通しが改善したことでBBB-を維持
ピレリ( Pirelli & CSpA )は6月14日( 伊・ミラノ発 )、S&P グローバル・レーティング( S&P Global Ratings )がピレリの評価を改定し、BBB-投資適格格付けに関して「安定」から「ポジティブ」に改善したことを発表した。
S&P グローバル・レーティングは、見通しの上方修正の理由としてピレリは2024~2025年の産業計画を実行する態勢が整い、コスト管理と高付加価値タイヤというニッチなブランド浸透により、安定した営業キャッシュフローを生み出し、結果として財務レバレッジ( 自己資本比率の逆数 / 自己資本を梃子にどれだけ負債を活用しているかを示す指標 )を削減できるとしている。
より具体的には、今後数年間で年間約4億5,000万~5億5,000万ユーロのフリーオペレーティングキャッシュフロー( FOCF )が創出され、営業キャッシュフロー( FFO )対負債比率が2023年の28%から2024年に約31%、2025年に約33%に増加するなど段階的な負債削減に繫がると予想。
加えて現段階で、ビレリが間接親会社の中国中化集団公司( シノケムグループ/中国の国有化学企業 )の戦略企業であることから( 2015年当時、シノケム・グループ傘下の ChemChina/ケムチャイナが、ピレリの持ち株会社マルコポーロ・インターナショナル・イタリアから65%の株式を71億ユーロで買収し筆頭株主になった )、ピレリが財務上のストレスに直面した場合、シノケムから財務支援などのインセンティブが得られだろうと見ている。
ゆえにS&P グローバル・レーティングは、ピレリの見通しを安定からポジティブに修正した上で長期発行体信用格付けについて「BBB-」を維持。無担保債務の発行格付けも「BBB-」を維持した。
つまり中国化工集団が引き続きビレリを連結し続け、更にビレリの営業キャッシュフロー( FFO )対負債比率が持続的に30%を超え、FOCF対負債比率が15%を超えた場合に限り、今後12~18か月以内にビレリの格上げが実施される可能性(英語)についても示唆した。