大町自動車学校は6月1日、大町校、鍋島校において、紙の「教習原簿」へのはんこ押印を廃止し、iPadなどタブレット端末を用いたデジタルへの移行を開始すると発表した。
併せて学科教習においても佐賀県で初めてのオンライン対応試験運用を開始する。
大町自動車学校は、今後も自動車教習所におけるDXを進め、安心安全便利に教習を受け、自動車免許取得を行える環境づくりに努めていくとしている。
全国の自動車教習所では、教習の実績を「教習原簿」といわれる文書に公的な文書として記録することが義務付けられている。これまで技能教習終了後に、教習インストラクターが教習を受講する教習生の目の前で紙の教習原簿にはんこ押印するということが一般的であった。
今回、大町自動車学校では、紙の教習原簿に代わり、iPadなどのタブレットにおいて押印記録とすることを可能とした。また、教習進捗の管理、教習予約状況の確認、質問に対して教習インストラクターが回答するなども可能となり、自動車教習を受ける教習生に向けサービス向上にも繋がるとしている。
また、大町自動車学校は、株式会社プロフィットが提供するオンライン学科システムを導入し、佐賀県で初めてのオンラインの自動運転免許の学科教習も開始する。これにより教習生は自宅などどこからでも学科教習を受講することが可能になる。
当面の間はライブ配信方式で時限数も限定的に実施しながら、オンライン時代の学習方法を模索しつつ、コロナ禍など万が一の保険として運用することを想定。なお、初回のオンライン授業は6月の中旬を予定している。
教習原簿へのはんこ押印の廃止、デジタル化によるメリット
1.業務のペーパーレス化
業務の基幹部分をデジタル化することで、様々なITソリューションの導入を進めやすくなり、業務のあり方を大きく変えることが期待できる。全国の自動車教習所のペーパレス化が進めば、免許行政とのオンラインでのデータ連携も理論的には可能となる。
2.個人情報を保護強化
現在利用されている紙の教習原簿の表紙には、教習生の個人情報が記載されており、置き忘れやのぞき見等により他人に知られるというリスクがある。今回の教習原簿のデジタル化によって、個人情報が記載された紙を持ち歩く必要がなくなる。また、教習インストラクターのタブレットや教習生のスマホには不必要な個人情報の表示がなされないため、個人情報の漏洩リスクが低減される。
3.災害からデータを守る
大町自動車学校は2019年の西日本豪雨で、紙の教習原簿も社内システムも水没し、大きな被害をうけている。復旧の過程では、ハンコのインクが流されて、それまでの教習結果が確認できなくなるなどの問題に直面した。今回のデジタル化により、システムをクラウド化して、自動バックアップを定期的に行い、突然起こる自然災害時でも早急に復旧することが可能となる。