日産自動車は、昨年10月以降、完成検査で不正が認められた車両に対して、国土交通省にリコールの届出(合計42車種、114万3540台)を実施してきたが、12月7日、新たに追浜工場とオートワークス京都における完成検査の合否判定で不明確な事案、約15万台が判明(現在精査中)したとして、当該案件のリコール届出を12月13日に予定していることを、発表した。
[経緯及び判明した事実]
・2017年11月、完成検査に係る不適切取扱いに関する調査結果並びに再発防止策を発表。法規・法令順守のための全社的活動を開始。
・2018年4月、日本生産事業本部を新設、レギュレーション・法規の専門部を設立。工場と連携した法令順守総点検の活動を推進。
・自主的な点検活動の中で、7月に排ガス・燃費に関する抜き取り測定について、9月に精密抜き取り測定について、不適切な事案が判明。完成検査問題の再発防止策をさらに強化。
・再発防止策をより確実に徹底する中で、プロセスのさらなる詳細な定義、検査員の確実な理解などの点検を実施。その自主点検の中で、追浜工場ならびにオートワークス京都の生産車両で、合否判定が不明確な可能性のある検査を一部車両に対して実行したという証言を確認。
・以下事案について、当該対象車両のリコールの届出を予定(2018年12月13日)
[完成検査における新たな不適切事案]
1. 追浜工場:後輪ブレーキ制動力の検査において、駐車ブレーキレバーを使用して測定。
2. 追浜工場、オートワークス京都:駐車ブレーキ制動力の検査において、ブレーキペダルを使用して測定。
3. 追浜工場:ステアリングの切れ角検査において、社内基準値内に収めるために、最後にステアリングを戻して測定。
4. 追浜工場:ステアリングの切れ角検査において、社内基準値内に収めるために、最初にステアリングを左右いずれかに切ってから測定を開始。
5. 追浜工場:スピードメーターの検査において、40km/hの速度を維持して測定すべきところ、40km/hに到達した瞬間に測定。
6. 追浜工場:サイドスリップの検査において、社内規定速度(5km/h)を若干超える速度(6~8km/h程度)で測定した。
[リコール対象車種・台数]
– 対象工場:
・追浜工場:ノート(E12)、リーフ(ZE1)、ジューク(F15)、シルフィー(B17)、キューブ(Z12)、マーチ(K13)
・オートワークス京都:アトラス(F24)、シビリアン(W41)、いすゞ エルフ(F24)、ジャーニー(W41)、三菱ふそう キャンター・ガッツ(F24)
– 対象車両台数(現在精査中): 約15万台
– 車両製造期間:2017年11月7日~2018年10月25日(オフラインベース:2018年10月17日以前の車両)
[原因と再発防止の強化策について]
2018年9月26日付け発表「完成検査における不適切な取扱いへの対応等について」の通り、再発防止策77項目について、着実に実行する。ただし、今回の原因の背景には、完成検査工程における完成検査員の動作に関する解釈の余地があったことや、禁止事項についての理解不足が考えられるため、以下の点を新規に追加し、再発防止策の強化を図る。
1. 禁止事項の周知
・標準作業書に禁止事項の記載を追加し、標準作業における禁止事項の確認と教育の実施。
・完成検査任命教育において、禁止事項の教育を追加し、実施。
・完成検査工程全般における作業観察を見直し、標準作業の遵守に加え、新たに禁止事項等の不適切作業を監視。
2. チェック機能の強化
・検査員の作業観察をするとともに、検査員が相談できる作業監視員を検査ラインに新たに配置する。
・標準作業の手順遵守を確認するためのカメラを検査ラインに新たに設置する。
3. 以下の物的対策による当該案件の再発防止
[再発防止に向けた物的対策について]