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2024年8月20日【MaaS】

日産と日本旅行ら、サステナブルな旅を新提案

坂上 賢治

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発起人の日産自動車、日本旅行を筆頭に、北海道旅客鉄道、東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道、四国旅客鉄道、九州旅客鉄道、日本貨物鉄道(以上のJRグループ)、地球の歩き方、おてつたび、TBWA HAKUHODO、Earth hacks、特定非営利活動法人日本ジオパークネットワークの14社は、環境省(デコ活応援隊)及び東北大学と連携してグリーンジャーニー推進委員会を8月20日に発足した。

 

上記委員会は、国内では初の取り組みとしてCO2の排出を抑え、地域の課題解決にも繫がる新しいサステナブルな旅の形となる「GREEN JOURNEY」を発表。同日より熊本県阿蘇市及び三重県志摩市との連携の下、2つの国内旅行ツアー(観光庁の令和5年度補正予算事業「地域観光新発見事業」に採択)の予約販売を開始した。

 

 

「GREEN JOURNEY」提案の背景は以下の通り

 

一般的な概念として旅行・観光産業は、世界のCO2排出量の約1割以上を占めるとされ、その大部分が旅行者の移動から発生している。そこで地域の関係人口を増やすことに加え、地域の経済・文化に配慮するべくサステナビリティに貢献していくことも観光業へ求めるようになってきている。

 

また昨今は、欧米からのインバウンド観光客を中心にサステナブルツーリズムへの注目も高まってきているが、日本人旅行者の国内旅行に於いては、まだ一般化していない。

 

一方で、アフターコロナや円安の影響から国内観光需要が高まってきており、この機会を活かして国内旅行のサステナブル化を推進することができれば、環境や地域に対して大きな貢献をもたらすことができる。

 

そもそも旅行という非日常の体験機会は、サステナビリティへの意識を高める切っ掛けとなり、日常生活に於けるサステナブルの取り組みへの意識・行動変容にも貢献が可能だ。

 

そこで、日産と日本旅行が発起人となり、業界の垣根を超えた様々な事業者へ協力を要請。14社が手を組んだ共同体としてGREEN JOURNEY推進委員会を発足した。

 

 

産学官連携活動「GREEN JOURNEY」の具体例は以下の通り

 

委員会では産学官連携の下、国内旅行に於けるCO2排出削減や環境保全型アクティビティの開発、参画自治体の関係人口の創出、地域文化の発展に取り組みなど、新しい旅のスタイル「GREEN JOURNEY」を国内旅行のスタンダードとして持続的に発展させていきたい考えだ。

 

より具体的には、8月20日(火)から熊本県阿蘇市と三重県志摩市との連携のもとで、新たに企画した2つのツアー「GREEN JOURNEY熊本阿蘇」「GREEN JOURNEY伊勢志摩」を、日本旅行が販売元となり発売する。

 

 

環境にやさしく、地域はうれしく、自分たちはとことん楽しい旅
第1弾ツアー「GREEN JOURNEY熊本阿蘇」「GREEN JOURNEY伊勢志摩」の予約販売開始

 

旅に出かけて思い切り楽しむだけで、地球や地域のためにもなる、新たな旅「GREEN JOURNEY」。そのツアー第1弾となる旅先は、両自治体による協力・連携により熊本県阿蘇市と三重県伊勢志摩エリアに決定した。

 

環境配慮を謳う旅のパッケージは増加してきたものの、業界のスタンダードになっていないことを背景に、「GREEN JOURNEY」では”旅の楽しさ”も追求。新たに開発したLINEのプラットフォームを使用し、訪問した場所でポイントを貯めたり、その地域の伝統文化や地域のサステナビリティに関する情報を読み、理解を深めたりすることができる旅へ誘う。

 

また地域ならではのサステナブルなグルメや、ツアー参加者だけが体験できるアクティビティも提供する。なお当該ツアーは、日本旅行を販売元として8月20日(火)より発売される。

・予約特設サイト:https://www.nta.co.jp/kokunai/greenjourney

 

・共同体サイト:https://www.greenjourney-project.jp/

 

今後は、一次交通事業者や再生可能エネルギー事業者などの多種多様な企業や団体の賛同を募っていくことで、様々な側面からGREEN JOURNEYを進化させていき、2033年までに全国200エリアへ「GREEN JOURNEY」の旅先を拡大し、延べ利用者数1000万人以上まで増やしていく計画だ。結果、最終的には2050年までに国内旅行に於けるCO2排出ネットゼロを目指す。

 

GREEN JOURNEY推進委員会の概要
・名称:GREEN JOURNEY推進委員会(グリーンジャーニー推進委員会)
・発起人:日産、日本旅行
・賛同企業:JRグループ、地球の歩き方、おてつたび、TBWA HAKUHODO、Earth hacks、日本ジオパークネットワーク
・提携自治体:熊本県阿蘇市、三重県志摩市
・提携団体等:東北大学、デコ活
・発足日:2024年8月20日

 

GREEN JOURNEY推進委員会の活動目標は以下の通り

 

(1)2050年までに国内旅行におけるCO2排出ネットゼロを目指す
「GREEN JOURNEY」の旅では、日産の電気自動車(以下EV)活用やサステナブルなグルメ、環境に優しいアクティビティなどの提供により、従来のカーボンオフセットによるCO2削減ではなく、実数としてCO2排出量を現在20%以上削減できる。

 

 

現在、2030年までに旅行時の移動時のCO2排出量を累計4,771t削減できる見込みだが、今回各地のツアーのアクティビティや食などのCO2削減率もEarth hacksが提供する「デカボスコア」を用いて算出する。

 

例えば、「GREEN JOURNEY伊勢志摩」の提携スポット「REMARE」では海洋プラスチックゴミをアップサイクルした環境に優しい土産を提供しており、Earth hacks調べでは通常のプラスチック製品に比べて37%のCO2削減効果がある。​このように、小さな取り組みまでサステナブルな要素を取り入れることによって、利用者のサステナブル意識の向上も図っていく。​

 

 

さらに、今後も一次交通事業者や再生可能エネルギー事業者などの多種多様な企業や団体の賛同を募っていくことで、様々な側面から国内旅行に於けるCO2排出量削減に取り組み、2050年には国内旅行におけるCO2排出ネットゼロを目指す。

 

(2)2033年までに全国200エリアへ拡大
全国の自治体と提携を進めることで、2033年までに全国200エリアへと「GREEN JOURNEY」の旅行先を拡大することを目指す。

 

(3)2033年までにのべ利用者数1000万人
今後は全国の自治体との連携を推進。EV充電設備の拡充をはじめとした地域の環境整備の取り組みを強化していき、更なる協力事業者を継続的に募りながら委員会賛同企業と共にこれらの取り組みを進めていき、 2033年までには延べ利用者数1000万人を達成することを目指す。

 

 

また「GREEN JOURNEY」では単なる観光だけでなく、旅行者が長期的に地域と関われる仕組みやアクティビティを取り入れており、多くの旅行者が「GREEN JOURNEY」で旅をすることで地域の関係人口増にも貢献できるとしている。

 

(4)各社の「GREEN JOURNEY」に係る取組と役割は以下の通り
日産
EVレンタカーだけではなく、インフラ企業と連携しEV充電器の拡充を促進することで、CO2削減および地域環境保全に取り組む。

 

日本旅行
「GREEN JOURNEY」のツアー販売。これまでのサステナブルなツアー販売の実績を活かし、各地域のモデルツアーのデザイン、及び地域関係人口増加に繫がるオリジナル体験コンテンツの企画開発等も推進する。

 

JRグループ
全国に広がるJRグループのネットワークで「GREEN JOURNEY」の取り組みエリア拡大をサポートし、環境にやさしい鉄道の利用促進を図る。また、「ヒト」はもちろんのこと「モノ」の輸送でも環境対策を意識し、エコレールマーク商品の活用を推進する。

 

地球の歩き方
地球の歩き方が保有するメディアを活用し、「GREEN JOURNEY」の取り組みを旅、そして地球を愛する皆様に発信し、認知促進を行う。

 

おてつたび
地域の労働者不足の解決と関係人口の創出を目的として、地域でのお手伝いと旅を掛け合わせた『おてつたび』を実施し、地域の人手不足解消と地域のファンづくりを推進する。

 

TBWA HAKUHODO
ツアー全体の体験設計プランニングや、スマホを活用した旅行体験プラットフォームの開発・運用を担当する。

 

Earth hacks
「GREEN JOURNEY」のCO2削減を可視化。商品やサービスの排出CO2相当量の“削減率”を「デカボスコア」として可視化し、旅だけでなくサステナブルの意識を生活に取り入れるきっかけを提供する。

 

日本ジオパークネットワーク
ジオパークは、地質・地形から地球の過去を知り、未来を考えて、活動する場所で、地球の遺産を守りながら、教育やサステナブルな観光に活かす。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。