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2025年2月4日【アフター市場】

ニチコン、商用EV向け「サイクリックマルチ充電器」を発表

NEXT MOBILITY編集部

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ニチコン・ロゴ

 

ニチコンは2月4日、運輸事業者をターゲットとした新たなコンセプトの商用電気自動車(EV)用急速充電器「サイクリックマルチ充電器」を発表した(発売開始予定は7月)。なお、同製品は、19日(水)~21日(金)に東京ビッグサイトで開催される「SMART GRID EXPO 春 第17回 国際スマートグリッド展 」で展示・紹介される。

 

同社では、2011年からEV/プラグインハイブリッド車(PHV)用の急速充電器を生産・販売してきたが、この製品では、運輸事業者が使用する複数台の商用EVをスマートに急速充電できると云う。

 

サイクリックマルチ充電器について
<開発背景>
世界で2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速するなか、日本でもEVの導入促進が進められている。なかでも、バスやトラックといった商用車のEV化ついては、2030年の政府目標として〝8トン以下の新車販売の電動車割合20~30%〟および〝8トン超の累積5000台の先行導入の実現〟を目指すと共に、2040年までに電動車・脱炭素燃料車100%を達成することが掲げられている。

 

それら方針を受けて、運輸事業者ではEVの導入を進めているが、その導入に当たっては、各拠点でEV車両の台数に応じて充電器を設置する必要があるため、設備の導入や運用に係るコスト、また設置場所の確保といった課題が生じるなどしていると云う。

 

そこで、ニチコンは今回、それら事業者のEV導入に関する課題解決に貢献する業界初となる「サイクリックマルチ充電器」を開発した。

 

<特長>
商用車の基礎充電に於いて、電池容量の大きな車両に毎日充電するためには、充電能力、複数車両の充電、電気料金、設置スペース、充電管理など、様々な課題が生じるが、サイクリックマルチ充電器では、これら課題の解決に寄与する。

 

(1)複数台のEVを高出力でサイクリック充電
複数台のEVに輪番(サイクリック)で充電する充電方式を採用。最大6台のEVに繰り返し最大出力(1口最大90kW)で充電が行えるため、充電器の能力を最大限に活かした効率の良い充電が可能。

 

(2)充電電力のピークの抑制
従来の充電器で複数のEVを同時に充電する場合には、各充電器の合計出力に応じた大容量の受電設備が必要であることに加えて、ピーク電力の増大により、電気基本料金の上昇にも繋がっていた。しかし、サイクリックマルチ充電器では、複数のEVに充電する場合に於いても最大充電電力は一定のため、受電設備投資、電気基本料金を抑制できる。

 

(3)高い設置自由度
セパレート構造(電源盤、スイッチャーボックス、ディスペンサ)により、自由な設置レイアウトが可能。スリムで省スペースなディスペンサにより、駐車スペースを有効活用できるほか、充電器設置による車室の減少を防ぐことが可能。また、騒音源となる電源盤を隣接する住宅地から離れた場所に設置するなど、周辺施設への騒音問題も回避可能。また、ディスペンサには、壁掛け、ロースタンド、トールスタンドの3タイプを用意。トールスタンドには、充電ケーブルの取り回しを容易にするケーブルマネジメント機能が搭載される。

 

(4)CMC(Cyclic Multi Charger)用サーバによる充電管理

車両と紐づけたカード認証により、各車両の充電をCMC用サーバで制御可能。充電器から離れた事務所などからパソコンやスマートホンを使って充電状態の確認や設定変更等ができるため、複数のEVの高効率な充電が可能。

 

<仕様>
– 型番:NQR-UC904シリーズ
– 製品形態:セパレート型
– 製品構成:電源盤、スイッチャーボックス、ディスペンサ(6台)
– 充電口数:6口(ディスペンサ6台)
– 充電ケーブル長:5.0m/8.5m(オプション)
– 充電方式:CHAdeMO Ver.2.0.2(認証取得済)
– 通信プロトコル:OCPP2.0.1
– 充電形態:サイクリック(輪番)充電
– 入力:

・入力電圧:三相3線式AC400V
・入力容量:最大96kVA

– 出力:

・定格出力:90kW(1口最大90kW)
・出力電圧:DC150~450V
・出力電流:DC0~200A

– 環境:

・IP等級:IP55
・使用温度範囲:-20~+40℃

– 質量:

・電源盤:300kg
・スイッチャーボックス:35kg
・ディスペンサ(1台当たり):39kg

※ディスペンサはロースタンドの仕様。
※仕様は予告無く変更されることがある。

 

<製品構成サイズ>

 

 

ニチコンは、EV/PHV用急速充電器の他にも、V2Hシステムである「EVパワー・ステーション」をはじめ、家庭用蓄電システム・トライブリッド蓄電システム、公共・産業用蓄電システムなど、電気の地産地消や家産家消を目指す同社の分散型電源ネットワーク製品を通じて、今後も、スマートシティー・社会の実現に向け、価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献していくとしている。

 

[問い合わせ先]
ニチコン NECST事業本部(本部長:桃井恒浩)
電話:075-231-8461

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。