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2024年10月21日【アフター市場】

NGPとJTP、大型車の部品リサイクルでCN研究を本格化

坂上 賢治

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調印式の様子

NGP日本自動車リサイクル事業協同組合(NGP)、一般社団法人日本トラックリファインパーツ協会(JTP)、富山県立大学工学部機械システム工学科 森孝男名誉教授・山田 周歩講師(富山県射水市)、明治大学理工学部機械情報工学科 井上全人教授(生田キャンパス:神奈川県川崎市)の4者は10月21日、報道陣を募って記者会見を開き、産学共同で「大型自動車リサイクル部品による環境負荷低減効果の研究」を開始することを明らかにした。

 

ここで一旦、自動車産業界を振り返ると、製品づくりの製造工程に対して資源投入量の多い同産業界は、大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアエコノミー(直線型経済)を続けていった場合、早晩に資源の枯渇や廃棄物の増大を招く。

 

記者会見の様子

 

それゆえ廃棄物を生み出さず、製品・資源を高い価値を保ったままで資源を循環させるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への転換を目指す取り組みが重要だ。またそもそも自動車生産自体が、製造工程や使用過程でのCO2排出量が大きく、気候変動に大きな影響を及ぼす。

 

従って〝脱化石燃料〟〝再生可能エネルギー促進〟〝電化〟などをキーワードに、製品づくり全体を転換させつつ、カーボンニュートラルを実現していくことが重要だ。

 

NGP小林理事長(左)とJTP新井代表理事(右)

 

そのような見地から見たリサイクル部品は、採掘した天然資源を加工して生産する新品部品と比べ、大きな省資源性・省エネルギー効果があり、CO2削減効果も期待できる。だからこそリサイクル部品は、カーボンニュートラルに貢献するだけでなく、サーキュラーエコノミー社会へ貢献していく鍵となる製品といえる。

 

そうした環境下でJTPは、トラックに特化した唯一のリサイクル団体として使用済みトラックの解体・リサイクルを行うと共に、使用済みトラックから取り外した部品から再生産したリサイクル部品の流通を担っている。一方のNGPは2013年5月より富山県立大学と明治大学との産学共同で「自動車リサイクル部品による環境負荷低減効果の研究」を行ってきた。

 

一方でNGP・富山県立大学・明治大学は、LCA( ライフサイクルアセスメント/部品の資源採掘、原料生産、、部品生産、製品使用、処理までの全体を評価する手法 )ソフトを介したリサイクル部品を活用した際のCO2削減効果を算出。これを基にした調査・研究を重ねてきた。

 

今回の同活動では冒頭の通り、上記のJTPが持つ大型自動車に係る知見と、NGP・富山県立大学・明治大学の知見を活かすことで、大型自動車のリサイクル部品の環境貢献度を数値化して、その価値を活かすために、共同研究を開始する。

 

研究会の名称:NGP×JTP大型自動車リサイクル部品産学共同研究会

研究テーマ:大型自動車リサイクル部品による環境負荷低減効果の研究

 

今後4者は、JTP加盟会社の工場で部品の解体と素材調査を行い、LCAソフトを用いてCO2削減効果を算出。更にリサイクル部品の利用拡大を通じて、カーボンニュートラルの達成とサーキュラーエコノミーの推進を目指し、自動車リサイクルが持続可能な社会に貢献することを目指していくと語った。

 

 

組織名:一般社団法人日本トラックリファインパーツ協会
代表者:代表理事 新井 栄
所在地:石川県金沢市近岡町773番地1
事業内容:大型自動車リサイクル部品の流通ネットワーク及び品質基準の構築など
URLhttps://jtp.or.jp/

 

組織名:NGP日本自動車リサイクル事業協同組合
代表者:理事長 小林信夫
所在地:東京都港区港南2-12-32 サウスポート品川4F
事業内容:健全な自動車リサイクル事業の構築を目指し、全国組合員企業の経営意識向上、意識改革までの「企業の社会責任」を遂行し、補修部品の消費者へ啓蒙と販売
URLhttps://www.ngp.gr.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。