NEXCO中日本は10月27日、2021年度雪氷期における取組みの強化について発表した。
同社は、2021年1月9日(土)から12日(火)にかけての大雪の影響により管理するE8 北陸自動車道とE41 東海北陸自動車道で、大規模な滞留車両が発生し、長時間にわたる通行止めなど社会的に大きな影響を与えたことから、大雪時の雪氷対策の見直しをおこない強化を図る。
大雪時の道路交通を確保するための具体的な対応を国の「冬期道路交通確保対策検討委員会」において、大規模滞留車両が発生した事態を踏まえ、『大雪時の道路交通確保対策 中間とりまとめ(平成30年5月)』を改定し、令和3年3月に短期間の集中的な大雪時の対応は基本的な考え方を見直しし、従来の「出来るだけ通行止めにしない」や「高速道路と並行する国道などと交互に通行止めをして、道路ネットワーク機能を確保する」から、「人命を最優先に、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避する」という考え方に転換するよう提言があった。
また、短期間の集中的な大雪により、車両の滞留が予見される場合には、計画的・予防的通行止めを実施し、集中除雪を実施。あわせて、利用者へ適時適切に情報を提供するとともに、高速道路と並行する国道などの同時通行止めを躊躇なく実施するための関係機関との更なる連携強化、正確な滞留状況を把握できる体制の強化、事前広報の強化などを実施する。
■2021年度大雪時の道路交通確保に向けた取組みの強化
(1)ソフト的対応
1.大雪が予測される降雪の3日前から出控えや広域迂回などを要請する情報を提供【強化】
大雪の気象予測が発表された場合は、3日前から不要不急の外出の自粛や広域迂回の呼びかけを、1日前からは通行止め区間、日時、迂回経路などの情報提供を緊急テレビCM、WEBサイトやSNSなど多様な広報媒体を活用し、繰り返し実施する。
さらに高速道路と並行する国道などの同時通行止めを含む計画的・予防的な通行規制を実施するにあたっては、空振りとなることを恐れず、関係機関の協力を得つつ、テレビCMやポスター、デジタルサイネージなどで幅広く周知することで高速道路の利用者、物流事業者や荷主に輸送のスケジュールやルートの変更の検討を繰り返し促す。
2. 高速道路と並行する国道などの同時通行止めを躊躇なく実施【強化】
短期間の集中的な大雪により車両の滞留が予見される場合には、幹線道路上の大規模な車両滞留の回避を目的に、降雪前・降雪時・滞留発生時等の各段階の行動計画(タイムライン)を策定するなど、関係機関との更なる連携強化を図る。交通状況、降雪状況に応じて躊躇なく高速道路と並行する一般国道などと同時に通行止めをおこなう。
3. 滞留状況を正確に把握するための体制を確保【強化】
国が「大雪に関する緊急発表」をおこなうような異常降雪時には、複数箇所で同時に大規模な滞留が発生することも想定し、滞留状況把握のため専任の人員体制を確保し、あらかじめ現地へ応援人員(約100~150人/箇所)の派遣をおこなう。また、スノーモービルなど(16台)を準備し、滞留状況の迅速な把握や利用者の支援を強化する。
さらに大規模な滞留が発生し、長時間におよぶ可能性がある場合には、関係機関と連携し、飲料水や食料などの物資を適切に提供するとともに必要に応じて避難所やホテルなどへの一時避難を支援する。
(2)ハード的対応
1. 大雪による滞留が発生した際の備えとして、ガソリン車への燃料補給に加え、EV車への充電対応など、事前に準備【新規】
車両の滞留が発生した場合には、滞留者の救出を速やかにおこなうことを目的に、長時間滞留が困難なEV車に向けた可搬式充電器(28台)や電気自動車用急速充電車(1台)を配備する。
2. その他の対策を強化【新規】
通行止めの際は本線規制までのタイムラグを解消し、通行困難な区間への流入車両をより早く抑制することを目的に、インターチェンジ流出部手前に簡易な規制装置(エアー遮断機:6箇所)や特設情報板(本線情報板補助対応:77箇所)を試行導入する。