日立ハイテクは、竹中工務店、クロコアートファクトリーと協創。20フィートサイズのスマートトレーラーハウスを開発した。スマートトレーラーハウスには日立ハイテクが提供する自立電源システム( 太陽光パネル+蓄電池+制御機器を介して、ハウス内の空調や事務機器へ電気を供給 )も搭載、既設の電源や発電機が無いエリアでも一定時間、安定した電力供給が可能となる。
今回は、そのスマートトレーラーハウスにファミリーマートが、大阪・関西万博の建設現場内向けにコンビニ初となる移動型無人トレーラー店舗(ファミリーマート舞洲/N店)に仕立てて5月13日にオープンした。
当該店舗では、建設現場で働く労働者を対象に商品販売・サービスを提供すると共に、日立ハイテクもスマートトレーラーハウス・自立電源システムの提供・運営サポート役として実証参画する。
今回の実証開始とその目的は、大阪・関西万博の建設現場のような広大な現場に於いて、その大半は電気や水道などの供給インフラが整っておらず、現場で働く技術者・労働者が必要な食料品や物品を購入することが困難であるため。
これまではやむなく敷地外の店舗まで買い物に出掛け、現場との往復移動に時間を費やしていることが大きな課題となっていた。従ってこのような環境下では、安定した電力供給を確保した上で、工事の進捗に合わせて柔軟に販売場所を移動できる店舗が求められていた。
そこでファミリーマートと日立ハイテクは、このような電源確保などのインフラで課題がある環境下に於いて、自立電源システムを搭載したスマートトレーラーハウスの無人店舗を介して、現場で働く人員が、より良い環境で働けることに貢献していく。
また同実証を通して最適な自立電源システムの開発を進めると共に、将来的には蓄電池にEVのリユースバッテリーを活用するなど、サステナブルな循環型社会への貢献を目指していく。
加えて今回開発したスマートトレーラーハウスの室内仕様を変更することで、建設現場だけでなく、停電や災害が発生した時に電源確保に課題がある地域での店舗運営。休憩所、トイレなどに利用することも可能。
従って今後は、スマートトレーラーハウスを日常時だけでなく、非常時にも活用貰う事を通して、フェーズフリー( 日常だけでなく、非日常時にも役立てていく考え方 )な社会の実現にも貢献していきたい考えだという。
スマートトレーラーハウスの概要、主な特徴は以下の通り
・コンテナサイズ:20フィートサイズ (長さ×幅×高さ:6.058m×2.438m×2.8m)
・コンテナフレーム:クロコアートファクトリーが開発した木製フレーム「MOKUJIKU」により軽量化を実現。総重量を3.5トン以下にでき、普通自動車で牽引が可能。
・駆動装置(ムーバー)搭載により、敷地内の近距離移動であれば、車両で牽引せずにリモコン操作のみでトレーラーハウスの移動が可能。(公道走行は不可)
・ハウス室内には、無人店舗営業に必要な空調・照明のON/OFF、監視カメラ、施錠開閉、床面清掃などを自動化したスマート機器を設置。
日立ハイテクが開発した自立電源システムの概要は以下の通り
・3.2kW 「フレキシブル太陽光パネル」をコンテナ屋根部に搭載。
・13.8kWh 「リン酸鉄リチウム蓄電池」、最大出力5kW 「インバーター」を床下に収納。
・系統電源(発電機)との自動切り換えで、電池残量を気にせずシームレスな利用が可能。
・クラウドによる自立電源システムの遠隔監視・遠隔制御