三井住友海上火災保険(以下 MSI)は2月22日、Nexar Ltd.(以下 ネクサー) と提携し、自動車事故における損害調査プロセスにネクサーのAIシステム「Vision AI」処理を導入したと発表した。
同社は、経営計画「Vision 2021」でトップレベルの保険・金融グループを目指し、グループ横断的なプロジェクトに取り組んでいるMS&ADインシュアランス グループであり、今回の提携は、そのプロジェクトの一環。
保険金支払業務において先進技術を活用することに注力しているMSIは、専用の自動車保険に付帯するドライブレコーダーにネクサーの技術を加え、AIや映像を活用して車両事故状況を正確に再現することを可能にした。ドライバーの安心感や事故の記録を残すためにドライブレコーダーを利用したいというニーズの高まりと、人工知能(AI)の進歩により実現したものであり、今回の技術を活用することで、MSIの顧客へのサービス向上につなげていく。
ネクサーの技術は、事故の映像や他のセンサーをもとに、自動車センサーの入力と合わせて、衝突の様子をマップ上に表示し、関係する車の位置を正確に特定する。また、独自のAI技術を使用することで、衝突の様子を文章化した時系列のテキストも作成する。このように事故の状況を完全に自動で再現することで、自動車事故が発生した際の調査時間を大きく削減することが可能になる。ネクサーの技術を使用する前は、事故を再現して賠償責任を判断するために数日から数週間かかることもあったが、今後はこの技術を活用することで、保険金請求への対応時間を大幅に削減することができるようになる。
ネクサーとの提携の中には、第三者車両を含んだ事故状況の再現、相手との距離、速度、関連する道路標識や信号機の認識などが含まれている。このシステムにより、再現した事故状況をもとに、事故における両当事者の最適な過失割合を判定するなどのプロセスと連動させることも検討している。
MSI担当者は、「私たちはネクサーの高度な技術により、お客様が詳細な事故状況を説明する時間を削減するとともに、客観的な事故情報をいち早く入手できるようになり、損害調査プロセスの改善に大いに役立っています。その結果、お客様のニーズにも迅速に対応できるようになり、今回の技術導入をきっかけに更なる顧客満足度の向上につながるものと考えています。」とコメントしている。
■Nexar(ネクサー)
自動車領域における「コネクテッド」に関連した技術・サービス開発を行う。