国土交通省は、完成検査における不適切な取扱い及び燃費・排出ガス測定値の書き換え事案を踏まえ、これまで通達において規定されていた完成検査員の選任に係るルールを省令等に規定した他、完成検査の記録を書き換えできなくする措置や、型式指定制度の適正な運用の確保のための勧告制度に係る規定を新設した。
[背景]
国交省では、複数の自動車メーカーによる完成検査の不適切な取扱いがあったことを踏まえ、完成検査の確実な実施のために見直すべき点がないか検討するため、平成29年11月に外部有識者等からなる「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」を設置。
今年3月、完成検査の確実な実施のために必要な措置をまとめた「中間とりまとめ」を公表した。
[改正概要]
同省は、「中間とりまとめ」の内容を踏まえ、また、その後に判明した燃費及び排出ガスの抜取検査での測定値の書き換え等を踏まえて、10月12日、道路運送車両法に基づく省令の一部改正等を行い、これまで通達において規定されていた完成検査員の選任に係るルールを省令等に規定した他、完成検査の記録を書き換えできなくする措置や、型式指定制度の適正な運用の確保のための勧告制度に係る規定を新設した。
[今後の検討課題]
「中間とりまとめ」では、技術進展等を踏まえ、完成検査の改善・合理化を含め、生産される自動車の保安基準適合性の確保のあり方について継続的に見直しを行うこととされていることから、同省は、この課題についても、関係者と議論しつつ取り組んでいくとしている。
[自動車型式指定規則の一部改正等の概要]
平成30年10月12日
1.改正概要
ⅰ.型式指定申請時の書面
・完成検査の実施等に関する書面には、国土交通大臣が定める事項を記載しなければならない。
ⅱ.完成検査の実施方法、完成検査員の要件等
・完成検査は、型式指定申請時に提出した実施要領の記載内容に則り実施しなければならない。
・完成検査の実施に必要な知識及び能力として国土交通大臣が定めるものを有すると認める者を、完成検査を実施する者としてあらかじめ選任しなければならない。
・完成検査を実施する者に対し、上記の知識及び能力の習得を目的とした教育訓練をしなければならない。
・教育訓練に関し、国土交通大臣が定める事項を記録・保存しなければならない。
・完成検査を実施する際は、国土交通大臣が定める事項を記録・保存するとともに、当該記録の書き換えをできなくする措置又は書き換えた場合にその事実が判別できる措置等を講じなければならない。
・抜取検査等の新たな完成検査の実施方法も申請可能であることを明確化した。
ⅲ.型式指定制度の適切な運用のための担保措置
・国土交通大臣は、型式指定制度の適切な運用の確保のため必要なときは、自動車製作者等に対して、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
・国土交通大臣は、完成検査に係る法令の違反があるときは、型式指定の効力を停止することができる。
2.公布・施行
公布:平成30年10月12日
施行:公布の日(ⅲ.)、平成31年6月30日(ⅰ.ⅱ.)