ミシュランは12月9日(仏では11月18日付けで発表済み)、カナダのスタートアップ企業Pyrowave(パイロウェーブ)と提携し、画期的な廃プラリサイクル技術の市場投入を急ぐと日本国内に於いて報道発表した。この技術が工業化されれば、タイヤだけでなく他の産業でも持続可能な材料を増やすことが可能となる。
パイロウェーブが開発した技術により、食品容器や家電の緩衝包装材、断熱建材からタイヤや合成ゴムその他多くの製品の製造に使用されているリサイクルスチレンモノマーを抽出できる。パイロウェーブが開発した独自の技術では、マイクロ波で廃プラスチックを処理しプラスチックを再生。従来の発電付焼却等による熱エネルギーを回収・利用のサーマルリサイクルとは異なり、電気を使用して廃プラスチックを高品質の原材料に再資源化できる。化石原料からバージン素材を製造する代替えとして、現状では脱炭素化への最も効率の良いエネルギー形態といえるだろう。
ミシュランとパイロウェーブの共同開発契約により、プラスチックの循環型経済に新しいバリューチェーンが生まれ、自動車、電子機器、タイヤの分野で、再生プラスチックによる新包装や新製品の設計が可能になると考えられる。両社は今後数か月、国際市場での認証と事業化を視野に入れ、パイロウェーブ技術の迅速な工業化を目指すとしている。共同開発のための投資は最終的に2,000万ユーロ以上となる予定。ミシュランはパイロウェーブと協働し、2023年までに工業試作品の開発を目指す。1年間の評価で、ミシュランは、リサイクルスチレンを原料としたサンプルタイヤを検証している。
ミシュラングループ執行副社長、ハイテクマテリアル、サービス&ソリューション統括のソニア・アルティニョン=フレドゥは次のように述べている。
「この提携は、ミシュランの持続可能戦略を代表する実例となります。今後さらに持続可能な材料でタイヤを製造し、こうした技術を革新的なリサイクルチャネルで活用できるようにしていきます。パイロウェーブの技術の可能性を信じ、ミシュランが持つ多くのビジョンを共有していきます」
パイロウェーブの共同創業者兼最高経営責任者のジョセリン・デュセ氏は以下のコメントを寄せた。
「この提携は、ミシュランの専門知識と高い技術を活用し、商用化に向け動き出したことを意味します。この戦略的提携は、化学的プロセス電化の魅力と将来性において、環境面・事業性の両面でバリューチェーンのグローバルプレーヤーに影響をもたらすと考えています。私たちは将来の材料を持続可能な方法で変革することを視野に入れ、革新的な技術を開発していきます」