トヨタ自動車は7月20日、トヨタ・レクサス車の販売会社“トヨタモビリティ東京”が運営する「レクサス高輪」において、指定整備の検査結果の改竄(基準を満たす値への書き換え)や検査を実施しなかった事実が認められたと発表した。
レクサス高輪は、不正が疑われる対象車両のオーナーに直接連絡し、該当項目の「再検査」を無償で実施する。
<不正内容>
① 基準を満たす値に書き換え
・ヘッドライトの明るさ
・フロントタイヤの角度
・パーキングブレーキの効き
② 検査を実施しなかった
・排気ガスの成分
・スピードメーターの精度(誤差)
■再検査が必要となる台数:565台
トヨタは、今回の不正の原因について、エンジニアを中心とした人員や設備が足らず、慢性的に高負荷な状況が続いていたこと。其々の車種や、走行距離、日々の使われ方、車両の状態などにより、必要な作業時間が異なるにも関わらず、決められた時間内に車検を終わらせることが目的となっていたこと等を挙げている。
また今後は、必要な人員の増強やサービス機器の更新などを最優先で進め、エンジニアのための十分な休憩スペースを設置するなど、働く環境を改善。店舗のオペレーション上での負荷を経営陣が現地現物で把握し、店舗における業務のあり方を抜本的に見直すと共に、従業員と話し合える風土を醸造。ユーザーに対しては、安全なクルマの整備に必要な追加作業にかかる時間などをしっかりと説明する等、メーカー、販売店一丸となって再発防止に向けて取組んでいくとしている。
レクサス高輪の再発防止策とトヨタモビリティ東京としての未然防止策
① 人員の増強・働く環境の改善
高負荷を軽減するため、サポート要員等の増強ならびに検査機器やサービス機器の更新などを最優先で進めると共にに、店舗で働く社員のために十分な休憩スペースを設置するなど、働く環境を点検して改善を図る。
② サービスオペレーションの見直し
点検整備と検査に関わる時間を一律にせず、個別の車両の状況に応じて設定。また、ヘッドライト光度検査等の計測値を画像に保存し、検査の信頼を担保する。さらに、現在の車検作業の手順が適正かを、現場の環境に照らして検証し、作業手順を改善。営業スタッフは、オーナーの用命を正しくエンジニアに伝えた上で、事前打合せを行い、作業に必要な時間と費用をオーナーに正確に伝える。また、待たせしないよう改善を図る。
③ 社内教育の徹底
全検査員を対象に、その任務を再確認するための勉強会を実施した。また、営業スタッフを含む店舗のスタッフに対して、検査員の職務と業務について周知。今後もこの教育を定期的に継続実施する。
④ コミュニケーション強化
検査員の悩み事や疑問を受け付けるための新たな相談窓口「検査員ヘルプライン」を本社に設置した。そして、役員および幹部が積極的に現場に足を運び、広く困りごとに耳を傾け、課題に対して真正面に向き合っていく。