ネオキャリア、東京海上日動火災保険、慶應義塾大学院岩本隆研究室の三者が産学連携でクラウドを活用した人事データと保険の融合などを推進
人事向けクラウドプラットフォームサービスを提供するネオキャリア(西澤亮一代表取締役、本社・東京都新宿区)、東京海上日動火災保険、慶應義塾大学大学院・経営管理研究科の岩本隆研究室の三者は4月15日、東京・丸の内の東京海上日動本社で記者会見し、産学連携による「jinjer HR Tech研究所」を設立したと発表した。
少子高齢化や人手不足時代に対応し、新発足の同研究所はそれぞれ企業の持つ人、保険や事故に関するデータおよびノウハウと大学の研究部門をつなぎ、新たなサービスやビジネスモデルの研究、開発などに取り組んでいく考えだ。
研究所名にあるjinjerは企業の人事データを一元管理するためのネオキャリアのHR(ヒューマン・リソース)プラットフォームのことであり、Techはテクノロジーをさす言葉。ネオキャリアの加藤賢専務取締役、東京海上日動の堤伸浩情報産業部長、それに慶應大大学院の岩本特任教授が会見した。
少子高齢化、人手不足時代をにらんで、人事や保険ん・事故のデータを有効活用した新ビジネスを研究
ネオキャリアと東京海上日動はすでに昨年末に業務提携を発表。両社の保有するノウハウやデータを有効活用することで、企業のニーズにマッチした保険を新開発し、あらゆる企業が必要な保険をより便利に、加入・利用できるよう共同で取り組むことに合意した。この第一弾として「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」やストレスチェックサービスなどの提供を始めている。
加藤専務、堤部長は同保険について、長期就業不能時の収入減少をカバーする保険であり、福利厚生制度の充実、休職者支援などの観点から同保険に注目が集まっているとし、とくに働き方改革や福利厚生の充実が喫緊の課題となっている「中小企業の経営課題に貢献できるものだ」と述べた。
また「企業・授業員データを活用することで、従来のような詳細な個人情報の記入が不要で、スマートフォンから簡単に加入手続きができる」のも新たな動きだ。岩本研究室はビジネス×テクノロジー領域の研究を推進しており、「民間企業と共同研究することで、どのようなビジネス、産業が生まれるか、注力していきたい」と述べた。
ネオキャリアは、採用後の入社手続きに始まり、入社後の勤務管理、部署異動、役職変更、経費精算、給与支払いなど、これまで多くの企業でバラバラに管理されていた人事業務を一つのプラットフォームに集約し、業務改善を大幅に改善するサービスの提供で注目され、業績を伸ばしている。これまでに、自動車分野をはじめ、多様な企業、業種に同サービスを導入している。
近年、こうしたテクノロジーに進化により業種の境で新たなビジネスが生まれることを「×(クロス)Tech」と呼ばれているが、これにさらなる研究機関が加わることで次に来るのが「×2(クロスクロス)Tech」時代と述べ今回の研究所スタートを「HR×Insur(保険)Tech×Something」と表現した。保険分野をはじめ、人手不足時代に対応した新たなビジネスの誕生が期待される。(佃モビリティ総研・松下 次男)