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2024年7月30日【MaaS】

ジゴワッツ、極東開発の機械式駐車場に高出力充電器を提供

坂上 賢治

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時間を超えるエネルギー源「ジゴワット」から来た社名

 

起業のヒントとなった映画〝バック・トゥ・ザ・フューチャー〟由来の社名を掲げる「ジゴワッツ( Jigowatts Inc. )」は、自社の高出力タイプ( 最大8kW )のケーブル付きEV用普通充電器「産業用モデル( 自社命名 )」が、極東開発パーキングの機械式駐車場に導入されたことを明らかにした。

 

そもそも極東開発パーキングとジゴワッツの両社は、先の2023年7月にプロジェクト第一弾として日本最小のEV用普通充電器「Ella」を極東開発の機械式駐車場に設置。第二段となった今年7月26日には、より高出力な産業用モデルを極東開発の機械式駐車場に導入した。

 

日本最小のEV用普通充電器「Ella」

 

そんなジゴワッツでは、機械式駐車場へ異なるタイプの充電器を導入した知見を踏まえ、「EVの利便性を高めるためには充電インフラの環境整備が最も重要であり、そのためには都市部で過半を占める機械式駐車場へのEV用充電器の設置は欠かせません。

 

公式資料によると機械式駐車場は、全国で3,259,679台分設置されており、東京では、その約25%にあたる800,376台分が存在( 公益社団法人立体駐車場工業会調査 )しています。従って少なくとも都市生活に於いて、充実したEV充電環境を実現させるためには、機械式駐車場にEV用充電器が設置されることが必要不可欠です。

 

高出力のEV用普通充電器「Industrial Model」

 

高出力EV充電器の導入を阻む機械式駐車場側の課題

 

しかし一方で、立体駐車装置のパレットスペース上の問題から、EV充電器を機械式駐車場に設置することは想定以上に難しく、機械式駐車場への高出力なEV用普通充電器の設置は解決するべき深刻な問題が数多く存在します。

 

そこで現時点では、まず昇降パレットの物理的寸法上で高出力充電器の設置が難しいことへの解決策として、充電ケーブルが付属しない3W級・コンセントタイプのEV充電器が設置されるケースが多くなっています。ただこのようなケースでは、安定した充電制御が困難であることから、充電量の把握が難しいという問題が浮上します。

 

またケーブル自体が付属していない充電器タイプのため、持参したケーブルを使わなければならず、4m以上ある雨や土埃で汚れたケーブルをトランクに収納するため、毎回ケーブルを清掃してトランクに入れて持ち運ぶ必要があります。

 

それよりも増して大きな問題は、ケーブルの長さと充電プラグの寸法が全く統一されていないことがあります。

 

 

要は、ケーブルの長さや車体から突き出る充電プラグの寸法が統一されていないので、差し込んだケーブルや充電プラグがパレット外へはみ出す巻き込み事故が生じるリスクがあります。これに対して当社の産業用モデル( EV用普通充電器 )は、極東開発パーキングがリールを用いて、ケーブルを管理する仕組みを導入しました。

 

これにより、ケーブルの絡まりや傷みを防ぐと共に利用者の操作を簡単にしたことから、EV充電器の利用者及び、EV充電器を設置する施設側にも以下のメリットがあります」と述べている。

 

 

高出力EV充電器を( EV用普通充電器 )として利用者側が使うメリット

 

1.ケーブル付き充電器:EV用普通充電器の利用者はケーブルを持参する必要がなく、産業用モデルゆえに付属されているケーブルを車に差し込むだけで充電が可能。

 

2.充電待ち時間の短縮:産業用モデル( EV用普通充電器 )は最大8kWの出力で、コンセントタイプの充電器(3.0kW)の最大約2.6倍の速度で充電できる。これによりEV充電利用者の充電待ち時間も最大60%以上短縮される。

 

3.予約不要:システム側でコントロールすることで全てのEV充電器を同時に稼働させることができる。これによりEV充電器の利用に際して予約等の手間が不要で、ケーブルを車に差し込むだけで簡単に利用できる。

 

 

高出力充電器を( EV用普通充電器 )として設置する側のメリット

 

1.出力制御機能:出力制御機能により、電力の需給状況に応じて充電器の出力を調整できる。これにより、電力及び充電時間を最適化することが可能となる。

 

例えば、電気容量に余裕がある時間帯には出力を高め、電気容量に余裕がない時間帯には出力を抑えることで、電力供給の安定性を確保しつつ効率的な充電が可能。このように、出力制御機能を使用することで、電気代の削減や環境負荷の低減が期待できる。

 

2.システム連動:様々なシステムと連動することが可能。例えば太陽光発電との連動等により、カーボンニュートラルな充電を実現すればCO2排出の削減に貢献できる。

 

 

3.拡充性:産業用モデルは、通信をしている場合には、常にサーバーと繋がっているため、システム変更や改修を行えば、追加工事等なく、様々な機能を追加することができる。

 

4.ケーブルの長さ及び充電プラグの寸法が統一:産業用モデルは、ケーブルの長さ及び充電プラグが統一されているため、安定した運用が可能となる。

 

両社が当該プロジェクトを推し進める技術的価値と未来展望とは

 

より高出力なEV用普通充電器の優位性が高いにも関わらず、これまでコンセントタイプが設置されてきた理由は、充電器自体が安価であることに加え、先のとおり普通充電器を設置すること自体が技術上難しいという課題があった。

 

そこではジゴワッツは、機械式駐車場への設置が可能な外寸の維持に拘った。併せて普通充電器のケーブルをリールを用いて管理する仕組みとした。これにより、ケーブルの絡まりや傷みを防ぐと共に利用者の操作を簡単にした。

 

 

加えて充電器の管理は、極東開発パーキングが担うEV充電設備のコンサルティングから充電管理サービスまでを一括で請け負う、運用・管理の新サービス「Charge-mo™(チャージモ)」を利用できる。

 

このためEV用充電器の設置者は、債権回収を筆頭に雑多な手間が解消され、駐車施設へのEV用充電器を安心して導入・運用できようになった。

 

 

ジゴワッツと極東開発パーキングは、今後も上記のハードウェア・ソフトウェア両方の観点から共に協力し、EV用充電器の利用者・EV充電器設置施設側及びに関連企業に対しても、より便利で快適な充電環境を提供することを目指していくと結んでいる。

 

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会社名:株式会社ジゴワッツ(英文名:Jigowatts Inc.)
設立:2014年5月20日
所在地:東京都中央区日本橋馬喰町2-3-3
電気工事業登録/東京都知事登録/第20190028号
取締役:代表取締役 柴田 知輝
取締役 :川野 仁
取締役(社外) :溝上 翼
監査役 :泉 昌宏
事業内容:EV/PHV用充電器の開発・製造・販売、充電サービスの展開
資本金:99,000,000円(資本準備金: 99,000,000円)
メールアドレス:info@jigowatts.jp
電話番号:03-4582-2015

URL:https://jigowatts.jp/

 

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会社名:極東開発パーキング株式会社
設立:2005年(平成17年) 10月3日
所在地:大阪市中央区淡路町二丁目5番11号 極東開発グループ本社ビル
資本金:1億円(2023年3月末現在)
株主:極東開発工業株式会社
代表者:代表取締役社長 吉田 豊
従業員数:56名(2024年3月末現在)
事業内容:
 - 機械式立体駐車装置及びごみ貯留排出機の製造、販売及び修理
 - 駐車場の経営(コインパーキングP.ZONE®)
 - EV充電管理サービスの開発と運営
TEL:06-6205-7822 / FAX:06-6205-7839

URL:https://www.kyokuto-parking.com/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。