公正取引委員会 は7月5日、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)に違反したとして、同日、トヨタカスタマイジング&ディベロップメント (以下、TCD)に対し、勧告を行ったことを公表した。
公取委では、同社に対して下請法の違反に関する調査を行ってきたが、その結果、「第4条第1項第4号(返品の禁止)」および「同条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)」の規定に違反する行為が認められたとして、今回、下請法「第7条第2項」および「第3項」の規定に基づいて、同社に対し勧告を行った。
1.違反行為者の概要
– 法人番号:6010401019839
– 名称:株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント
– 本店所在地:横浜市港北区師岡町800番地
– 代表者:代表取締役 西脇 憲三
– 事業の概要:自動車に架装する外装及び内装用の製品の製造販売
– 資本金:17億円
2.違反事実の概要
(1)TCDは、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に対し、自社が販売する、または製造を請け負う自動車に架装(※1)する外装及び内装用の製品(以下、製品)の製造を委託している(以下、これら事業者を「下請事業者」という)。
※1:自動車の外観変更や機能向上のための外装品や内装品を装着すること。
(2)
ア.TCDは、下請事業者に対し、下請事業者から製品を受領した後、当該製品に係る品質検査を行っていないにもかかわらず、当該製品に瑕疵があることを理由として、令和4(2022)年7月から令和6(2024)年3月までの間、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該製品を引き取らせていた。
イ.返品した製品の下請代金相当額等(※2)は、総額5427万3356円である(下請事業者65名)。
※2:作業工賃(返品する製品の取付け又は取外しに係る費用)の額を含む。
(3)
ア.TCDは、下請事業者に対して自社が所有する金型等(製品の製造に用いる金型、製品の塗装・メッキ処理等の加工を行う際に用いる治具及び製品のサイズを正確に確認するための計測器具である検具)を貸与していたところ、遅くとも令和4(2022)年7月1日以降、当該金型等を用いて製造する製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者に対し、合計664個の金型等を無償で保管させることにより、下請事業者の利益を不当に害していた(下請事業者49名)。
イ.TCDは、令和4(2022)年7月から令和6(2024)年3月までの間に、前記664個のうち、合計108個の金型等を廃棄している(下請事業者3名)。
(4)TCDは、前記(2)の行為について、令和6(2024)年6月20日、下請事業者に対し、返品した製品の下請代金相当額等を支払っている。
3.勧告の概要
(1)TCDは、下請事業者に対し、無償で金型等を保管させたことによる費用に相当する額を公正取引委員会の確認を得た上で速やかに支払うこと。
(2)TCDは、次の事項を取締役会の決議により確認すること。
ア.前記2(2-ア)の行為が下請法第4条第1項第4号の規定に違反するものであること。
イ.前記2(3-ア)の行為が下請法第4条第2項第3号の規定に違反するものであること。
ウ.今後、前記各号の規定に違反する行為を行わないこと。
(3)TCDは、今後、下請法第4条第1項第4号および同条第2項第3号の規定に違反する行為を行うことがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。
(4)TCDは、次の事項を自社の役員および従業員に周知徹底すること。
ア.前記(1)から(3)までに基づいて採った措置。
イ.前記2(4)の対応を採ったこと。
(5)TCDは、次の事項を取引先下請事業者に通知すること。
ア.前記(1)から(4)までに基づいて採った措置。
イ.前記2(4)の対応を採ったこと。
(6)TCDは、前記(1)から(5)までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
[問い合わせ先]
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部下請取引調査室
電話:03-3581-3374(直通)