JAFは3月16日、夜間における歩行者の見え方や反射材の効果についての調査結果を公開した。
公益財団法人交通事故総合分析センターによると、夜間に発生した交通死亡事故のうち約70%が道路横断中に発生しており(「交通統計 令和2年版」)、夜間の見えづらさが重大事故の一因と考えられている。今回は、横断中の歩行者などが身に着けている服装の色の違いや反射材の有無によってドライバーの視認性がどう異なるのかを調べ、夜間に外出するドライバーと歩行者が両方の立場でできる対策について検証した。
テストには歩行者に見立てたマネキンなどを使用し、模擬市街地の横断歩道上に設置。テスト車はその対象に向かって154m離れたスタート地点から時速20kmで直線走行し、ロービームとハイビームの両方でドライバーの視認性を確かめた。テスト車からは人間の視覚に近くなるよう調整したカメラで撮影したため、公開された映像では実際の運転時における見え方をドライバー目線で追体験することができる。
テスト1:服装の色によってドライバーから見える距離は変わるか?
マネキンに反射材がついたJAF制服(上下)、黒、黒の上に反射材ベスト、青、紫、赤、緑、黄、白のトップスを着用させ、横断歩道上に1対ずつ設置し、それぞれの服装について、ドライバーの視点で人として認識できた時点での距離を測った。
<結果>
昼は鮮やかに見える色でも夜になると発見しにくくなる色があった。一方、反射材は遠くからでも視認しやすい。
グラフのとおり、黒や青は夜の暗闇に溶け込んでしまい、横断歩道の手前まで接近しないと人として認識できなかった。一方で、白や反射材を身に着けた服装は、ロービームでも遠くから発見されやすい結果となった。また、意外だったのは、昼間は目立ちやすい赤や緑といった色が夜間になると黒や青とあまり変わらないといった点。夜間外出時には可能な限り白っぽい服装を意識したり、反射材を身に着けておくと良い。また、夜間に運転する際は基本ハイビームで走行し、歩行者などをいち早く見つけることも重要となる。
テスト2:ペットと一緒に散歩する歩行者やペットの見え方は?
横断歩道を渡ろうとしている歩行者とペットを再現し、反射材の効果を検証した。人のマネキンは黒の服装に反射材ベスト、灰色の犬のマネキンには反射材つきのリードと首輪を用意し、着用する場合としない場合で比較した。
<結果>
反射材の効果は絶大的で、遠くからでも発見できる。
ロービーム・ハイビームともに、反射材の有無で見え方に大きな違いがあった。特に今回のテストでは人も犬も暗めの服装や毛色だったため、反射材がない場合、相当に近づかないと存在すら確認できない状態に。ドライバーに少しでも早く見つけてもらえるよう、反射材を積極的に活用することが望まれる。