JAF(日本自動車連盟)は、災害時の電源供給として注目されている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)・ハイブリッド車(HV)・一般的な車で、家電がどの程度使えるのかを検証し、その結果を3月16日に公開した。
今回の実験では、テスト車4台について、以下の2つのテストが行われた。
[テスト1:どのような家電が使えるのか(4台をテスト)]
EV、PHV、HVは、1,500Wまでの電気製品が使えるACコンセントを装備しているが、一般的な車は、大容量バッテリーとACコンセントを装備していないため、車のDC電源(シガーソケット)をAC電源に変換するインバーター(定格出力1,000W)をバッテリーに直接つなぎ、①スマホの充電器(5W)、②電気毛布(80W)、③ライト(100W)、④電気ストーブ(400W/800W)、⑤電気ポット(430W)、⑥電気ポット(1250W)、⑦ホットプレート(1350W)の家電製品が使用できるかを検証した。
下の表がその結果。EV、PHV、HV(エンジン始動が前提)では、最も消費電力の高いホットプレートまで使用できた。そのため、被災時やオートキャンプの際、明かりを灯して暖を取ったり、食事を作ることもできるとしている。
一方、一般的な車では、インバーターの容量しだいで使用できる家電は変わるが、バッテリーの容量が小さいため、エンジンをかけずに長時間使用できる家電は限定される。
[テスト2:お湯が何回沸かせるか(3台をテスト)]
EV、PHV、HVの3台で、1,250Wの電気ポット(1.2リットル)を使用し、5時間でに何回お湯が沸かせるのかを検証。
EVとPHVは事前にバッテリーを満充電に。HVは充電器による充電ができないため、テスト開始時のバッテリー残量(3分の2)で開始した(気温7℃、水温6℃)。
ちなみに、PHVとHVは、バッテリーの蓄電量が減ると自動的にエンジンが始動して電気を供給するが、今回は災害時で燃料に余裕がなかったり、アイドリングができない状況を想定したため、バッテリーの蓄電量のみの検証とした。
結果は下の表の通り。EVでは30回お湯を沸かした後でも、バッテリーの残量は3分の2程度あった。
PHVではエンジンを始動せず27回お湯を沸かせたが、28回目の途中でエンジンが始動した。HVはバッテリーの容量が小さく、充電量も3分の2程度だったため、1回しかお湯を沸かせなかった(2回目の途中でエンジンが始動)。
[補足:インバーター使用の際には、バッテリー上がりに注意]
一般的な車でもインバーターの定格出力(1,000W)内の電気ポット(430W)や電気ストーブ(400・800W)は使用することができた。
しかし、電気ストーブを800Wで9分間使用したところ、バッテリー(新品)の電圧が降下し、インバーターの保護回路により電気の供給が停止。
エンジンをかけた状態でも電圧の降下が確認できたことから、バッテリー上がりを防ぐため、エンジン始動時でも消費電力が大きい家電を使い続けることは避ける必要がありそうだ注意を呼び掛けている。
以上の結果を受けてJAFは、一般的な車は、バッテリーや発電機に余裕がないことから、エンジンの始動・不始動にかかわらず、消費電力が大きな家電は長時間の使用は控える。
また、EVやPHVは災害時の電源として活用でき、PHVとHVはエンジンが始動できれば、燃料が続く限り電気の供給が可能であるとしている。
しかし、いずれも災害発生前に蓄えた電気や燃料次第となるため、日頃からバッテリーの充電や燃料の補充を心がける必要があると結んでいる。
JAFユーザーテスト[資料編] 災害時の車からの電源供給:
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/usertest/disaster/detail1.htm