損害保険料率算出機構(損保料率機構)はミャンマー保険協会と協力し、ミャンマー初となる自動車保険の契約・支払い状況等の今年4月分の情報、ほぼ全社分を収集した。
ミャンマーの損害保険市場は、2012年に民間保険会社の設立が認められて以来、急速に発展。また、自動車の2018年度末の登録台数も乗用車で約63万台(対前年度比+5.3%)、二輪車で約569万台(対前年度比+8.0%)と、拡大している(*)。
一方、自動車保険商品の補償内容等を定める約款や、マレーシアのタリフ(保険料率表)を参考にしたとされる保険料率は、長年にわたって検証・見直しが行われてこなかった。
こうした状況の原因の1つとして、自動車保険の料率検証等に必要不可欠な業界横断的データ収集態勢がこれまで整備されておらず、実態が把握されてこなかったことがあげられると云う。
今回、損保料率機構は、ミャンマーにおける自動車保険の料率検証・見直しに向けたデータ収集の基盤作りをサポートするため、現在、金融庁等が進める「ミャンマー保険セクター支援計画(COMPASS/※1)」に参画。昨年9月には、JICA(国際協力機構)からの要請を受けて、ミャンマー国内の損害保険会社5社に対し、自動車保険に関する共通データの収集に向けた実態調査を行ってきた。
損保料率機構とミャンマー保険協会は、この実態調査の結果を踏まえ、各社が提出可能なデータを入力する統一のテンプレートの作成と自動車保険関連データの収集を共同で実施。6月4日~7日、現地でデータ収集状況を確認し、今年4月分の自動車保険の契約状況や支払い状況等の情報を記録したデータをほぼ全社分収集できたことを確認した。
データ収集の実現はミャンマー損害保険業界初。これにより、今後、収集したデータに基づく保険料率の検証・見直しが期待できることとなった。
損保料率機構の支援により、業界全体の自動車保険の引受成績の実態を把握する手掛かりがつかめたことに対して、ミャンマー保険協会会長Dr.サンダー・ウー氏(ミャンマー保険公社総裁)は、以下のように話している。
「データに記録される自動車保険の契約状況や支払い状況は、季節的な要因や、周辺環境の変化などによっても変動することから、短期間ではなく、一定期間継続的に収集することが望ましいものになります。
損保料率機構では、今後も現地のJICA専門家と緊密に連携し、自動車保険の料率検証・見直しに向けたより具体的なアドバイスを行うなど、引き続きミャンマーの自動車保険市場の健全な発展に貢献していきます」。
※1:COMPASS for the Future of Myanmar’s Insurance Sector(2018年6月7日手交)。日本国内の官民組織から成るこの計画は、ミャンマー保険セクターの健全な発展に貢献し、両国間のWin-Winの関係をさらに強固なものとすることを目的としていまる。この一環で損保料率機構は2017年から3回に及ぶ関連知識の向上を目指したセミナーを現地で開催。 機構のミャンマー支援は、損害保険協会がミャンマー保険協会と2017年に結んだ協力の覚書に従って行われている。
*登録台数出典(対前年度比は出典から計算):Central Statistical Organization(ミャンマー):「SELECTED MONTHLY ECONOMIC INDICATORS AUGUST(2018)」6.4 REGISTERED MOTOR VEHICLES BY TYPE
■損害保険料率算出機構:https://www.giroj.or.jp/