堀場製作所(以下、ホリバ)は4月12日、国際基準WLTP(※1)に準拠した車両性能・排ガス評価試験が可能なシャシダイナモメーター(※2)「VULCAN EVO(バルカン・エボ)」の国内での本格販売を開始したと発表した。
WLTPでは、排ガス、燃費(電力量消費率)、電費測定をシャシダイナモメーター上で行うことが定められており、日本においても昨年4月1日より国土交通省管轄の下、WLTPに基づく燃費・電費測定が義務化された。
これにより、自動車メーカー各社は、従来のガソリンエンジン車に加えて、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、燃料電池自動車(FCV)、自動運転車など、モビリティの開発多様化に伴う幅広い評価への対応が求められることとなった。
ホリバでは、現行製品の「VULCANⅡ」と比べてさらに広範な用途を網羅する上位機種として、開発の初期段階から試験室内で積雪や雨天など様々な環境下での路上走行を模擬した状態を正確に再現することができるシャシダイナモメーター「バルカン・エボ」を開発。既に一部の認証機関で導入されているバルカン・エボの販売を、燃費・電費測定の義務化に伴い、本格化した。
ホリバは、複雑化する自動車開発プロセスの短縮及びそれに伴うコスト削減に貢献すると共に、今後、各国の認証機関への導入拡大を図ることで、世界的な排ガス規制への取り組みや持続可能な社会を実現する多様なモビリティ開発を支援するとしている。
[製品特長]
・ハイパワー(最大 350kW/軸)、ハイスピード(最高 300km/h)に加え、重量車や過積載を想定して、軸荷重は最大3,000kgまで対応。
・性能試験における低フリクション等の諸要求に柔軟に応じられるよう、メインベアリング方式に加熱ベアリングと電動二重ベアリングから選択可能。
・品質チェックと製品診断を自動化し、システム全体のパフォーマンス向上とダウンタイム低減に貢献。
・自動運転システムADS EVO(エーディーエス エボ)との接続・連動が容易にできるため、再現性のより高い試験実現や、電費計測・実路再現などの長時間試験の負荷を大幅に軽減。
[仕様比較]
※1)WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure):乗用車等の国際調和燃費・排ガス試験方法。
※2:道路上を走っている自動車の走行状態を、実験室のローラー上で再現する装置。VULCANシリーズは、試験室内で路上走行を模擬した状態を正確に再現するモジュラー式の4WD・2WD車向け48インチダイナモメーターで、ACモーターによる制御とローラー慣性量を設定することで、多様な車種の駆動力と車速を高精度に計測することができる。
■(ホリバ)シャシダイナモメータ VULCAN:https://www.horiba.com/jp/automotive-test-systems/products-jp/dynamometer/chassis-dynamometer/details/ecdm-48-2594/