本田技術研究所(以下「ホンダ」)は2月24日、鈴廣蒲鉾本店(以下「鈴廣」)と、電気自動車(EV)を移動手段としてだけでなく、蓄電池としても活用し、EVと建物間で効率的に電力を融通するエネルギーマネジメントの実証実験を共同で開始したと発表した。
今回の実証実験は、小田原市にある鈴廣本社を中心とし、主に小田原市内でEVを走行させて実施する。ホンダがEVとエネルギーマネジメントシステムを用意し、鈴廣がそれらを日常業務で使用する。
具体的には、EVを取引先訪問などの移動時に使用するとともに、移動に使わない時には蓄電池としても活用し、必要に応じてEVから鈴廣本社社屋に電力供給を行う。業務用EVを社屋のエネルギーマネジメント用の蓄電池としても活用するため、社屋用蓄電池への新規投資を抑制する効果が期待できるという。
これにより、鈴廣とホンダは①社屋全体の効率的な電力利用、②EVによる効率的な移動業務、の2つを最適なバランスで両立させ、CO2の排出量削減とピークカットによる電気代の低減を目指す。
また、ホンダはこの実証実験を通じて、ユーザーにとっての経済的メリットの検証と、将来に向けたエネルギーマネジメントシステムのビジネスモデルの検討も行う。
実証ではホンダが新たに開発した「エネルギーマネジメントシステム」、EV利用時の消費エネルギーを最適化する「運行管理システム」、「バッテリーシェアリングマネジメントシステム」の3つのシステムを使用する。
なお、実証実験の期間は2022年2月~2023年2月を予定している。
■エネルギーマネジメントシステム
電気料金の安い時間帯にEVを充電し、電気料金の高い時間帯にはEVから社屋に電力を供給することでピークカットを行う。このシステムは、ホンダが2012年から埼玉県にある実証ハウスで研究を続けている「Hondaスマートホームシステム」で培った技術を活用しており、システムに搭載されたAIが、社屋に設置された既存の太陽光発電などのデータも学習した上で、電力需給の予測を行う。
■運行管理システム
鈴廣従業員が、外出にあたり入力したEV利用予定を基に、車両のデータを活用して、最も消費電力が少なく、短時間で効率的に移動できるルートを計算し、提案する。
■バッテリーシェアリングマネジメントシステム
社屋の電力需給の予測と、EVの利用予約に基づき、いつEVを走行させるべきか、いつ充電すべきか、そしていつEVから社屋に電力供給すべきか、といったEVのバッテリー活用に関する全体調整を行い、エネルギーマネジメントと運行管理を最適なバランスで両立させる。