エムダブルエス日高(以下「MWS日高」)、一般社団法人ソーシャルアクション機構(以下「ソーシャルアクション機構」)、日立製作所(以下「日立」)は11月11日、オンデマンドの移動サービスの提供に向け、福祉・介護型MaaSの実証実験を実施すると発表した。
高齢化が進む日本では、高齢者の単身や夫婦のみの世帯が増加しており、移動の際にマイカーの代替手段が無いことが課題となっている。これにより、外出頻度の低下とともに、社会参加の機会が減り、身体や脳の機能低下による、要介護リスクや認知症リスクが高まることも懸念される。
このような背景を受け、高齢者や要介護者の状況に応じたきめ細かな送迎時のノウハウを持つ通所介護施設の送迎サービスを、高齢者や要介護者の日常の移動支援に活用する新しい移動サービスの実現が期待されている。
今回、ソーシャルアクション機構と日立は、組合せ最適化を実現する計算手法を用いて、通所介護施設の送迎計画を高速に自動立案するほか、移動制約者からの乗車要求に応じて送迎中の車両とのマッチングを行うオンデマンド送迎の仕組みを新たに開発し、高崎市内のMWS日高の介護施設において、サービスの実証を行う。
今後、実証により得られたデータから効果検証を行い、介護業界のデジタル・トランスフォーメーション(DX)促進に向け、介護事業者と移動制約者の双方の利便性を両立する新たな交通サービス基盤を実現し、全国への展開をめざしていく。
■福祉・介護型MaaSのサービス基盤の特長
1. 利用者ごとに異なる要件を踏まえた快適な送迎計画を高速に自動立案
従来、介護業界における送迎計画は、利用者ごとに異なる要望や特有のケアに配慮し、最適な車両割り当てやルートなどを介護事業者が人手で作成を行っており、負荷の高い業務となっていた。今回、組合せ最適化を実現する計算手法を活用し、車いすや付き添いの有無、送迎時間/迂回の許容範囲といった利用者ごとに異なる複雑な制約条件のほか、従来の事業者特有の送迎ノウハウに基づく、最適な通所介護の送迎計画やオンデマンド送迎のマッチングを高速に行い、介護事業者の負荷軽減と地域高齢者の利便性向上に寄与する。
2. 高齢者の方でも操作しやすいUIにより、アプリで簡単にオンデマンドの配車依頼が可能
利用者からの配車依頼は、ソーシャルアクション機構が開発するモバイルアプリから行える。このアプリは、MWS日高での介護ノウハウを取り入れ、高齢者にとって使いやすいユーザーインタフェースが採用されている。