グッドイヤーは、FIA世界耐久選手権(WEC)のLMGT3カテゴリーへ単独サプライヤーとしてタイヤを供給する体制を敷いている。そうしたなか、先に開催された2024第1戦のカタール大会でデビューイヤーを飾った。
同社は、この新しいカテゴリーのタイヤ仕様と物流の改善を介して、WECとFIAのサステナビリティに関する目標をサポートし、モータースポーツをよりクリーンで環境に配慮したものにかるべく取り組んでいるという。
ちなみにWEC・LMGT3カテゴリー向けのタイヤ生産に関してグッドイヤーは、ドイツ・ハナウ工場で全タイヤを製造している。同工場は、国際サステイナビリティ・カーボン認証(ISCC PLUS)を取得住みであり、同社がWECとFIAのサステナビリティ目標に真摯に取り組んでいることを示している。
グッドイヤーのレース用タイヤにはバイオベースおよびリサイクル素材を使用しており、これにより、限りある資源の需要を減少させることができているという。
より具体的にLMGT3向けタイヤは、約33%がサステナブル素材で構成され、これは、現在GTレースで使用されている全レースタイヤの中でも、その割合が最も高い。なお使われているサステナブル素材には、天然樹脂、カーボンブラック、ポリマー、リサイクルスチールなどが含まれる。またウェットタイヤには籾殻灰シリカが使われている。
更にこうした取り組みを、より徹底するためには生産量そのものを減らすことも重要だ。そこでグッドイヤーは耐久レースにおける二酸化炭素排出量を削減するための方策を以下のように幾つか、掲げている。
各レースで使用するドライタイヤのコンパウンドを1種類に
2022年、グッドイヤーは1種類のスリックコンパウンドの使用に切り替え、タイヤの生産本数を大幅に削減した。
マルチコンパウンドを使用するレースでは、その要求に応える一方で、各チームに戦略の選択肢を与えるために見合った本数のタイヤを生産する。
一方でタイヤの種類をシンプルにすることで、必要になるタイヤの本数をより正確に予測し、その結果、生産本数自体を減らす努力を重ねている。このような小さな取り組みで、シーズン中のタイヤ生産本数を約33%削減することができている。
タイヤウォーマーを廃止する
WECはFIAの世界選手権として初めて、2023年からタイヤウォーマーの使用を禁止した。これは、タイヤメーカーにとって様々な点でサステナビリティの向上に寄与する。
それが各レースに輸送する機材の量を減らし、ロジスティクスを簡素化することができ、更にレースに於けるタイヤに関わるエネルギー消費を大幅に抑えることができる。
これに併せてグッドイヤーは2022年にタイヤウォーマー廃止に対応するための新しいタイヤを開発した。このタイヤは、タイヤウォーマーなしでも早くウォームアップするように設計されている。
耐久性の高いタイヤを供給する
耐久レースでは常に、同じタイヤでより長い距離を走れることが重要で、グッドイヤーのLMGT3タイヤはそれを可能にする取り組みを重ねている。今年のル・マンでは、1セットのタイヤでF1レースの3倍もの距離に相当する5スティントの走行を可能にした。
炭素排出量を削減するロジスティクス体制
2024年、グッドイヤーはレース用のタイヤと機材の運搬に海上輸送を使う。これにより、レースに関わる物流はより持続可能なものとなる。長距離の航空輸送は、1トンの貨物を1マイル輸送するのに、海上輸送の47倍の温室効果ガスを排出すると言われている。
これらの方策についてグッドイヤー 耐久レース プログラム・マネージャーのマイク・マクレガー氏は、「私たちは、モータースポーツ活動における二酸化炭素排出量の削減に全力を注いでいます。
タイヤや機材の輸送量を減らしたり、タイヤに使われるサステナブル素材の割合を増やしたり、これらすべては、モータースポーツにおけるサステナビリティの基準を作ることに貢献すると考えています。
さらに、グッドイヤーのモータースポーツ活動は、一般道を走るためのロードタイヤの未来にも貢献しています。
グッドイヤーのレースタイヤ開発チームとロードタイヤ開発チームは緊密な連携を取ってモータースポーツ活動に取り組み、それが継続的なタイヤ技術の進歩に繋がります。そして、その進歩は世界中のドライバーに享受されています」と述べている。