デンソーは、オートサービスショー2019(5月16日〜5月18日・東京ビッグサイト青海展示棟)に出展し、OBD(車載式故障診断装置)検査において、診断結果をスマートフォン上で確認できるスキャンツール「DST-i」を展示した。
スキャンツールとは、自動車の電子システムに故障箇所がないか、ある場合はどこが故障しているのかを診断するための故障診断機のこと。
近年の自動車には様々な電子機器が導入されており、それらは全てECUで制御されているため、自動車整備などを行う際に故障箇所を診断する当ツールは、業者や企業には今や必須のツールとなっている。
今回、デンソーが展示したDST-iは、ハンディタイプながら多機能なスキャンツールだ。
サイズは135mm(W)×70mm(H)×35mm(D)で、暗い車室内でも見やすい高精細カラーLCDを採用。2013年の販売開始からソフトウェアのアップデートを繰り返すことで徐々に機能を拡張。定期メンテナンスから車検、サポカー点検などに幅広く対応している。
そのDST-iで、注目の機能のひとつが、「QRコード健康診断」(特許出願中)だ。
これは、車載コンピュータのOBDに当端末を接続しスキャンした後、診断結果をQRコードに変換、スマートフォンやタブレットでQRコードを読み取り専用サイトにログインすると、車両の診断レポートが表示されるという機能だ。
同社では、この機能を例えば、整備工場やディーラー、ガソリンスタンドなどに車検やメンテナンスに訪れたユーザー向けサービスとして提案。
診断結果がわずか数分で表示可能とスピーディに使えるため、顧客を待たせずに様々な整備や部品交換などの提案ができることをアピールしている。
なお、診断レポートは、クラウド上で保存・管理されるため、オフィスのパソコンなどのブラウザでも確認可能で、プリンター印刷などにも対応している。
デンソーでは、また、当ツールをベースに中古車オークション最大手のUSSと共同で「DST-i for USS」を開発。
これは、USSが3月から名古屋会場で開始した出品車のOBD検査に使用するためのものだ。USSでは、当サービス導入と同時に「OBD検査で異常のない車両の専用コーナー(略称OBDコーナー)」を設けることで、目視で見えない不具合の見える化への取り組みを強化すると共に、目視とOBDの両検査でオークション取り引きの信頼性を高めることに貢献しているという。
OBD検査は、2024年から車検に導入される予定となっているだけに、中古車オークションだけでなく、今後はさらに必要不可欠となってくるものだ。
また、例えば、アイドリングストップ車では、バッテリーを交換した場合にECUをリセットしないとアイドリングストップが機能しなくなる場合がある。同社のスキャンツールは、そういった際にECUのリセット機能があるなど、故障診断だけではない多機能さも特徴だ。
加えて、同社では全国92拠点の「デンソーダイアグステーション」も設置。これは、全国で約400カ所ある同社サービスステーションの中でも、より高度な診断や修理に対応する拠点だ。
多機能なツールの販売だけでなく、より細やかなアフターサービスを行うことで、トータルソリューションを提供するのがデンソーが持つ一番の強みであるといえるだろう。