千葉県香取郡の東庄町(とうのしょうまち)は4月12日、一般社団法人国際ドローン協会と協同で、東庄中学校の一斉下校の際に、通学路をドローンで巡視する実証実験を実施する。
この実証実験は、通学路の見回りを行っている教職員の負担軽減に加え、犯罪への抑止効果を期待するもの。実証前の現段階では、教職員が持ち回りで見回りを行っている。
ちなみに実証の舞台となった東庄町は、東京から約80キロメートル圏の千葉県北東部、成田空港からは約1時間の場所にある。
旧東城小学校の跡地を利用した「ドローンのホームグラウンド」をコンセプトとした東庄町ドローンパーク。
そんな東庄町は、廃校になった小学校の跡地利活用を目的に、2022年11月に国際ドローン協会との契約をへて開校したドローンの教習所「東庄町ドローンパーク」がある。同パークは、一等、二等無人航空機操縦士の資格取得ができる国土交通省登録講習機関の「無人航空機教習所」として開設したもの。
2024年1月15日(月曜日)に国際ドローン協会と共同で、農業用ドローンの性能に関する実証実験を実施
これを機に同パークは「ドローンを通じて関わる人の人生を豊かにする」を理念に掲げ、民間ドローンスクール、ドローンの整備工場である修理技術センター、薬剤散布事業、スマート農業支援、CM・映画・ドラマの撮影を行う空撮事業部が統合された複合ドローン施設として運営されている。
2023年8月に東庄町で行われた「東庄ポークアンドビア夏祭り2023」でドローンを使った駐車場の誘導を実証。
そんな「ドローンを使って何かしたい!その何かを考えられる、叶えられるまち」としての環境が東庄町にあるため、それが今回の実証に繫がったという。
火災後の場所で赤外線カメラを使い、燃え残った火がないかどうかを確認した実証。
さて実証実験を行う建て付けとその内容は、まずドローンを載せた指揮車を用意。生徒が一斉に下校する時間に合わせて指揮車からドローン2機を飛ばして指定された通学路を巡視する。
その巡視中は生徒の見守りをするだけでなく、ドローンに備え付けられたスピーカーから注意喚起のアナウンスもおこなうというもの。ドローンからの映像は、職員室に設置されたモニターから観ることができ、教職員は無線でドローンパイロットに指示を出すこともできる。
東庄町ではこの実証実験を通して、下校時の生徒の安全確保と教職員の負担軽減の両方をドローンを使って解決できるよう今後の運用方法について検討を重ねていく予定だ。
実際、ドローン巡視を行ったゆえの実施の効果は絶大で、そもそも東庄中学校は町内の中心に位置していて、生徒の9割以上が自転車で通学をしている。毎週月曜日と木曜日は一斉下校が行われ、多くの生徒が自転車で帰路につく。
これまではその際に、教職員が車で通学路周辺を巡回し、安全に帰宅できているかの見回りを行っていた。しかし多くの生徒達に目配せする教職員側の負担が高く、ただでさえ高い教職員へ及ぶ負担増が大きな懸念となった。
今回の実証実験では、教職員の車による巡視時間を無くし、負担を軽減させられることに加え、ドローンに備え付けたスピーカーから注意喚起を行えることから、犯罪の抑止効果も期待できる。
またドローンによる巡視の様子は、職員室に設置したモニターでリアルタイムに確認出来るようにすることで、教職員の目による安全確認も継続して行うことができると話している。