東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)は6月23日、資産運用業務におけるDX推進の取り組みとして、フランスのフィンテックスタートアップ「SESAMm(以下、セサム社)と協業し、AI感情分析を活用した独自運用モデルを開発するプロジェクトを開始すると発表した。
東京海上日動は、資産運用部門における運用業務の効率化・高度化を進めるため、今年4月に部門内に高度専門チーム(Center of Excellence)を組織し、検討を本格化。
投資判断を高度化するためには、経済指標や金利・株価等の金融市場に関する定量データに加え、ニュースやソーシャルメディア等の定性データを複合的に分析する必要があるとの判断から、今回、金融分野における自然言語処理の高い専門性と、定量・定性データのデータベースを有するフィンテックスタートアップのセサム社と協業し、データやAIを活用しながら資産運用を高度化していく取り組みを進めることとした。
プロジェクトの狙い
東京海上日動は、セサム社との協業により、①独自の運用モデル開発、②データサイエンティスト人材の育成、③データ収集・分析に関する知見の獲得につなげ、運用収益を向上させていく。
① 独自の運用モデル開発
セサム社と連携しながら、海外社債への投資など資産運用全般にAIの活用を進め、将来のマーケット動向を予測する独自モデルを共同開発する。開発モデルでは、投資家のリスク許容度のシグナルだけでなく、マーケットにおける“喜び(Joy)”、“恐怖(Fear)”、“怒り(Anger)”といった感情の蓄積をAIで分析。これらのシグナルと従来の定量分析を組み合わせることで、株価やクレジットに関する予測精度の向上を図る。
② データサイエンティスト人材の育成
プロジェクトでは、東京海上日動のプロジェクトメンバーがセサム社のデータサイエンティストチームにハンズオンで参加し、協業しながら最先端のアルゴリズム構築を行う予定。資産運用に関するデータやAIの活用について実務経験を積むことで、DXを担うデータ人材の専門性と実務能力の向上につなげる。
③ データ収集・分析に関する知見の獲得
セサム社は、オルタナデータと呼ばれる140億以上の文章から構成される巨大データベースや、このデータベースに含まれるニュース・ブログ・SNS等の膨大な情報の中から、投資に関する新たなアイデア・見識・シグナルを抽出してAIで分析し、ダッシュボードに可視化する技術を有している。
東京海上日動は、このセサム社のもつデータベースやアルゴリズムにアクセスすることで、データ取得に関する知見を得るとともに、過去相場のデータ分析といったケーススタディを行い、データ分析のノウハウを蓄積していく。
東京海上日動は、今後も資産運用部門を含めた各部門におけるDXをさらに加速させ、データやデジタルを活用した新たな価値を提供していくとしている。
[セサム社概要]
– 社名:SESAMm
– 所在地:フランス・パリ
– 代表者:Sylvain Forté
– 設立年:2014年
■SESAMm:https://www.sesamm.com/