新潟県の弥彦村(村長:本間 芳之)は1月30日、ソフトバンク傘下のBOLDLY( ボードリー )、DNP( 大日本印刷 )と協力。2月2日から自動運転EV「MiCa( ミカ )」の通年運行を開始する。
なお、もとより弥彦村では、地元のバス事業者の事業撤退等を受けて、隣接する燕市と共同で燕市と弥彦村の主要拠点を結ぶ広域循環バス「やひこ号」を運行してきた。
しかし、ドライバーの高齢化や人員不足に伴い、ルート拡大などの住民ニーズに応えることが難しくなった。そこで弥彦村は、持続可能で利便性が高い公共交通サービスを実現するべく国土交通省の「自動運転実証調査事業」の採択を受け、自動運転EV「MiCa」2台の通年運行を開始することを決めた( まずは1台で運行開始。2台目は車両の準備が整い次第、運行を進める構え )。
これを受けたボードリーは、冬季に一定の降雪・積雪がある弥彦村での通年運行開始にあたり、かつての北海道に於ける自動運転車両の運行実績を生かし、2024年1月上旬から降雪・積雪の環境下で「MiCa」を走行させ、適切なルート設定などの事前準備を行った。
その他の運行のポイントは以下の3つ
(1) 「MiCa」は、弥彦村役場を起点とする北吉田ルート( 片道約5.7km )と井田ルート( 片道約2.5km )の2つのルートを走行。どちらのルートも住宅地などを通り、弥彦村役場のバス停で「やひこ号」に接続。また北吉田ルートでは「北吉田駅」のバス停でJR北吉田駅に接続する。
(2)ルート上の計3カ所にDNPの屋外デジタルサイネージ「モビリティポート」を設置し、「MiCa」の運行状況や利用方法、イベントなどの地域情報を配信することで、利用者の利便性向上や地域活性化を図る。
(3)「MiCa」の運行業務は、当面の間、BOLDLYとセネック( 全国各地の自動運転バスの運行および運行管理業務を行う実績を持つ交通事業者 )が担当。2024年度以降は、地元の交通事業者を含めた関係者などと議論を重ねた上で、最適な体制を構築する予定。
運行の概要
◯運行期間:2024年2月2日(金)に通年運行を開始*月・火・金のみ運行
◯乗車定員:8人*オペレーターを含む
◯車両:MiCa(ミカ/エストニアAuve Tech社製)
◯速度:時速20km未満
◯バス停:13カ所
◯運賃:無料
◯運行ルート・ダイヤ:図を参照
*自動運転車両の運行について:https://www.vill.yahiko.niigata.jp/selfdrivingbus/
降雪・積雪地域での運行
BOLDLYは、冬季に雪や氷点下の環境となる北海道の自治体で、自動運転バス「ARMA」の通年運行を実現(関連記事リンク)している。
その中で、行政と連携した除雪による走行環境の整備や、除雪に伴う路肩などの雪山に合わせたセンサー検知範囲の調整など、降雪・積雪地域で自動運転車両を安全に運行させるための様々なノウハウを蓄積した。弥彦村では、それらのノウハウを生かし「MiCa」をより安全に運行していく構え。
屋外デジタルサイネージ「モビリティポート」
タッチパネルを搭載した屋外デジタルサイネージで、公共交通や地域の各種情報を多言語で提供。住民や観光客などのシームレスな(分断が少ない)移動を実現して利便性向上を図る他、〝にぎわいの創出〟により地域活性化をサポートする。
(上)モビリティポートのシステム概念図(下)弥彦村役場の前に設置したモビリティポートと「MiCa」
BOLDLYの運行管理システム「Dispatcher」の画面イメージ
主な提供情報は下記の通り
– 「MiCa」と「やひこ号」の運行状況・ダイヤ、「MiCa」の位置情報(反映は2月9日以降を予定)など。
– 弥彦村が導入しているパーソナルモビリティ(電動キックボード)の利用情報(設置拠点など)
– 地域の施設・飲食店に関する情報(各施設・店舗からのリアルタイムの情報をデジタルマップ上で配信することも可能)
なお弥彦村のLINE公式アカウントでは、「MiCa」の運行状況やダイヤを確認できる(2月1日以降予定)。QRコードから“友だち登録”を行うこともできる。
https://line.me/R/ti/p/@916fpbsb?oat__id=3035215