衛星データの実用化を目指し、衛星データとAI画像認証を活用した共同研究開発
駐車場予約アプリ運営のakippa(代表取締役社長 CEO:金谷 元気)とサーバ運営のさくらインターネット(代表取締役社長:田中 邦裕)並びにAI技術のRidge-i(代表取締役社長:柳原 尚史)は衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」の実用化を目的に、共同で衛星データとAI画像認証を活用。駐車場用のスペースを自動検出するための初期プログラムを開発した。(坂上 賢治)
上記のTellus< https://www.tellusxdp.com/ >とは、さくらインターネットが経済産業省の「政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利活用環境整備・データ利用促進事業」を受け、開発・運用に取り組んでいる衛星データプラットフォームだ。
また、Tellusには衛星データに加え気象、人流などの地上データを順次搭載するなど機能拡張が進んでいる。ちなみに同プラットフォームであるTellusの名称は、宇宙から得られる地上のデータにより豊かな未来を作り出したいという意を込め、大地の女神Tellusから取っている。
写真は、2019年2月29日のTellus概要発表中の記者会見風景
実のところ目下、同プログラムは開発途上にあるのだが、近々サービスが完全実用化された暁には、akippaがこれまで足で稼いでいた自動車の駐車場用スペースを衛星データから確認できるようになり、駐車場開拓の効率化が期待できるという。
ちなみにakippaでは、全国の空いている月極や個人の駐車場、空き地などの遊休地を駐車場として一時利用できるシェアリングサービスとして2020年7月現在、全国に累計37,000拠点の駐車場が登録されている。しかしドライバーニーズに100%応えられる駐車場数は確保できておらず、今も新しいスペースを見つける際に現地開拓のための時間が掛かるといった課題があった。
そこで同課題を解決するため、効率的に新たに駐車場として活用できる遊休地を発見する新手法として、衛星データと機械学習・ディープラーニングの技術を活用。特定エリアの「自動車駐車場用スペースの候補を自動検出するプログラム」の開発を目指してきた。
今回の開発初期モデルでは、Tellusの開発・利用を促進するべく、鋭意開発を進めているさくらインターネットが衛星データの提供を。Ridge-iが機械学習・ディープラーニングの技術を使い、ひとまず衛星データだけで、駐車場用スペースの候補地を検出できるプログラムを開発したもの。実際、2019年10月〜2020年2月に福岡・札幌にて実証実験を行ったところ、約75%の精度を実現したという。
これを踏まえ、今後さくらインターネットはTellusへの搭載と実用化に向けて、衛星データの提供とプラットフォーム改善を行い、一方akippaは、同プログラムをビジネス上で駐車場用スペースの候補地検出のために本格的な活用を検討していく。
具体的には、今回の福岡・札幌の2都市から活用を開始。順次全国への展開を検討していく。またRidge-iは、機械学習・ディープラーニングプログラムの更なる精度向上に加え、地上データや時系列の衛星データを利用した駐車場用スペースの候補地の把握などの検討をしていく。3社は宇宙ビジネスが注目される中「今後も衛星データの実用化に向けて3社で取り組んでまいります」と話している。