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2024年1月25日【IoT】

アイシンと新明和工業、自動バレー駐車システムを共同開発

坂上 賢治

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参画2社、国内初 車載システムと機械式駐車設備の連携技術を確立

 

アイシンと新明和工業は、自動駐車ソフトウエアと機械式駐車設備の連携技術に関し、双方で開発した関連システムを組み合わせて国内で初めて(自社調べ)、機械式駐車設備に自動駐車する「自動バレー駐車(レベル4)」に成功したことを(1月25日)明らかにした。

 

但し当該実証実験では、安全性確保の観点から監視員が乗車した上で、レベル4の自動バレー駐車を実行した。なお今後は、スマートフォンに搭載した専用の自動駐車アプリを介して自動駐車を行いたい意向だ。

 

両社の個別技術の融合を経て、将来的には駐車施設を利用者するドライバー自身が、自らスマートフォン上の操作のみで機械式駐車設備等に自動駐車できるようになるため、設備内での人身事故の防止に加え、駐車自体や機械式駐車設備の操作に困ること。更に駐車にまつわる待ち時間を消費するなどの煩わしさから解放され、安全性と利便性が大きくに向上するようになるいう。

 

ちなみに両社は、先の2022年4月から自動駐車と機械式駐車設備の連携技術に係る共同開発に着手。そんな両社の役割分担は、アイシンが自動走行や駐車等の車載システムを開発。

 

対して新明和工業は、車両アプリと機械式駐車設備アプリの連携システムに取り組むと共に、これに適合する機械式駐車設備の開発を担ってきた。その後、2023年3月から新明和工業の敷地内にある機械式駐車設備(エレベータ方式と多段方式の2種)を用いて実証実験を重ねた。

 

今後は利用シーンの拡大を視野に自動運転車両の実用化に弾みをつけたい

 

今回の実証実験では、車両と機械式駐車設備に設置したコントロールユニット内にそれぞれの専用アプリを搭載。個々のシステム連携に関する初期設定を行った後、新明和工業の敷地内に設けた乗降場所から、車両アプリ上で目的地を当該機械式駐車設備に指定。これにより車両アプリと機械式駐車設備アプリが連携され以降は、車両が自動で機械式駐車設備に入出庫できるかの検証を実施・消化した。

 

当該実験結果から、自動運転車両を認識した機械式駐車設備は指定パレットの呼び出しや車両の格納、ゲートの開閉を自動で行い、自動走行および駐車技術を用いて駐車経路を制御。段差や高い駐車精度が求められる機械式駐車設備に自動駐車することに成功した。

 

同実証結果についてアイシンと新明和工業は、「アイシンは、これまでも自動運転技術の開発に取り組んでおり、駐車に関しても人を介する工程を全て自動化する自動バレー駐車の技術や、平面駐車の技術を既に確立しています。

 

一方、新明和工業は、未来社会に於ける機械式駐車設備の進化を目指し、これまでも産学連携における自動運転による駐車技術の確立などに取り組んできました。

 

こうした中、両社共に車両とインフラの実用的な連携に向けて次なるステップを模索していたところ、経済産業省および国土交通省が推進する自動バレーパーキングシステムに関する検討会での出会いを契機に、それぞれの技術を生かして汎用性を視野に入れた機械式駐車設備への自動バレー駐車実現に向けた共同開発の実施に至りました。

 

今般、2社の技術が融合したことで駐車や機械式駐車設備の操作が、スマートフォンの操作に置き代わり、より安全で快適、かつスムーズな駐車サービスを提供できる道が開けたことから、今後は利用シーンの拡大を視野に、自動運転車両の実用化に弾みをつけたいと考えています。

 

なお同共同開発は2024年3月をもって終了するものの、今後は、情報の共有やデベロッパーへの提案活動などを協力して行うなど、自動バレー駐車の実用化に向けて共に取り組んでまいります」と話している。

 

1. 実証実験概要
場所:兵庫県宝塚市(新明和工業 本社地区敷地内)
機械式駐車設備:
利用車両:トヨタ プリウス(ZWV55)E-Four Aプレミアム

 

走行ルート:新明和工業株式会社の本社敷地内

 

実証実験に於ける機械式駐車設備の自動バレー駐車・入庫手順

 

(1)運転手は乗降場所で降り、アイシンが開発したスマートフォンの車両アプリ上で目的地として機械式駐車設備を選択し、移動ボタンを押す(これ以降は人を介さない)。
(2)移動開始が指示されると、車両が自動的に移動を開始。車両アプリと機械式駐車設備アプリも自動連携。
(3)Visual SLAMを用いてアイシンが開発した車載システムにより、記憶した風景と、走行中に撮影される風景の違いから車両の位置を割り出すことで正しい駐車経路を進むよう制御。
(4)所定位置に車両が到着すると、自動運転車両であることを機械式駐車設備が認識し、自動的にゲートが開いた後、一旦停止していた車両が入庫運転を開始。
(5)車両が設備内の所定位置に停止したことを確認後、機械式駐車設備のゲートが自動的に閉まる。(エレベータ方式の場合は、当該パレットの格納をもって入庫が完了)
(6)入庫が正常に完了すると、利用者に対して入庫完了の通知が機械式駐車設備アプリ上に届く(利用者は、駐車設備から離れた場所にいても駐車の完了を確認できる)。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。