新たなテレマティクス損害サービスシステムを富士通など7社と共同開発
あいおいニッセイ同和損害保険は8月9日、最先端のテレマティクス技術を活用した全く新しい事故対応サービス「テレマティクス損害サービスシステム」を野村総合研究所、SCSK、富士通、大日本印刷、インテリジェント ウェイブ、日本アイ・ビー・エム、SBIフィンテック インキュベーションの7社と共同開発したと発表した。
各社の最新技術とテレマティクス情報を複合して事故対応で実用化する取り組みは業界初で、これまでにない革新的かつ高品質な事故対応サービスを保険契約者に提供できるという。
「自動運転社会の本格化により、クルマから得られるさまざまの情報がデータとしてつながってモビリティサービスが社会のインフラとなっていく中で、保険の在り方が大きく変化する時代に直面している。
こうした背景を踏まえて、当社はテレマティクス保険のパイオニアとしてさまざまなニーズに合う商品を開発してきた。これからもテレマティクス技術は不可欠で、他社に先駆けて取り組んでいくことに意義があると考えた」とあいおいニッセイ同和損保の樋口昌宏取締役専務執行役員は説明する。
このテレマティクス損害サービスシステムの開発では、各社がそれぞれの強みを持ち寄ったことによって高品質かつ短期間で実現できたそうだ。例えば、野村総研はドライブレコーダー映像など車両から得られるビッグデータや、道路・天候情報等を地図上にビジュアル化し、事故状況を瞬時に把握できるシステムを開発した。
SCSKはあいおいニッセイ同和損保が保有する国内および海外のテレマティクスデータの走行波形・衝撃波形と、SCSKの独自のソリューションを活用し、事故検知アルゴリズムを開発。
富士通は自社が保有するドライブレコーダーの映像を分析するAI画像認識とその結果から三次元位置を高精度に推定するVisual-SLAM技術により、事故相手の車両速度や運転軌跡を業界最高水準の精度で推定するシステムを開発し、運転車でも気づけない事故原因や事故発生時の状況を正確に再現できるようにした。
大日本印刷は自社が提供する高精度文書検索システムのデータ分析技術を活用し、過去の交通事故判例を自動的に表示し、過失割合を自動判定するシステムを開発。そして、日本アイ・ビー・エムとSBIは複数のサービスや車両から得られるデジタルデータを取り扱う企業との間で、インターネットを介して、サービスやデータを連係するAPI連携基盤を開発した。
このように各社が開発した技術を合わせたことによって、車両が衝撃を検知すると即座に保険会社から保険契約者へ連絡が行き、ドライブレコーダー映像などのデジタルデータをもとに過失割合まで迅速かつ適切に判定できるようになった。しかもこのシステムの導入によって、対物賠償保険金の支払いまでの日数を約50%短縮できるという。
「これまでのお客さまとの電話のやりとりを中心とした従来の事故対応からデジタル活用による高度な事故対応へと変わり、お客さまの負担は飛躍的に軽減、またはなくなっていく。当社にとっても、現場の業務効率化や省力化が図れ、経営にとってもプラスになる」と樋口専務執行役員は話していた。(経済ジャーナリスト・山田清志)