SOMPOホールディングスと損害保険ジャパン、ナビタイムジャパン、LayerXの4社は、保険事故発生の自動検出と保険金支払業務自動化の技術検証のため、MaaS(※1)領域におけるブロックチェーン技術を活用した、国内で初(※2)となる実証実験を、8月18日から共同で実施する。
昨今、MaaSに代表されるあらゆるモノがサービス化された世界や、人やモノがインターネット上でつながるスマート社会の実現など、デジタルテクノロジーによる産業構造の変革が急速に進んでおり、我々の価値観や生活スタイルに大きな変化をもたらすことが予想されている。
MaaS社会においては、モビリティに関わる検索・予約・決済などのあらゆるサービスが一つに集約され、シームレスに実行できるとされており、MaaS元年とも言われる昨年度から全国各地でさまざまな実証実験が行われている。
そのことから、SOMPOホールディングスおよび損害保険ジャパンは、保険においても、従来どおりの書類のやり取りが必要な保険金請求や支払手続きではなく、デジタル技術を活用して自動化・効率化させ、顧客の利便性の向上を図ることが必要だと考えていると云う。
そこで今回、MaaS社会の到来を見据え、保険の新たな顧客体験の可能性を検証するため、ナビタイムジャパンの経路検索アプリケーション「NAVITIME(※3)」および「乗換 NAVITIME(※4)」の利用者からテストモニターを募り、LayerXのブロックチェーン技術を活用して、保険事故発生の自動検出と保険金支払業務自動化の技術検証を主目的とした実証実験を、4社共同で実施することとした。
また、今後は実証実験の結果を踏まえ、事故発生から保険金の支払いプロセスにおける新たな体験価値の創造を目指して、新商品やサービスの開発へ向けた検討を進めていくとしている。
※1:Mobility as a Service の略。出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに一つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとしてとらえる概念。
※2:SOMPOホールディングス、損保ジャパン、ナビタイムジャパンおよび LayerX調べ。
※3:NAVITIMEは、ドア to ドアで徒歩、電車、バス、車などの移動手段を組み合わせた最適なルート案内や時刻表、現在地周辺のスポット検索などが可能な総合ナビゲーションアプリ。
※4:乗換 NAVITIMEは、乗換案内に特化したアプリで、路線図からの乗換検索や鉄道運行情報の確認、電車遅延・運休時の迂回ルート検索などが可能。
[実証実験の概要]
実証実験では、「電車の運行遅延」を保険金請求事由と見立て、ブロックチェーン上でさまざまなプログラムを自動的に実行できる仕組みのスマートコントラクトを活用し、JR宇都宮線・高崎線・埼京線の遅延情報を自動検知し、位置情報をもとに当該遅延の影響を受けたと判定されるテストモニターに対して、保険金に見立てたデジタルクーポンを即時に自動発行、配付する。
また技術検証のみならず、新たな体験価値として受容されるサービスか否かを検証するため、実証実験に参加しクーポンを受け取ったテストモニターへ、満足度を問うアンケートを実施する。
・実施期間:2020年8月18日から2020年9月30日
・参加者 :ナビタイムジャパンが提供する「NAVITIME」「乗換 NAVITIME」の利用ユーザーから募集したテストモニター
<モニター募集について>
モニター希望者は、以下のQRコードから実証実験モニター募集ページにアクセスし、登録手続きを行う。なお、モニター登録数の上限に達した場合には登録ができなくなる。
<実証実験の概要>
<実証実験における各社の役割>
・SOMPOホールディングス:全体統括
・損害保険ジャパン:実証実験モニターのニーズ調査
・ナビタイムジャパン:モニター募集および API 提供
・LayerX:システム企画および開発
[各社のコメント]
■SOMPOホールディングス
デジタル戦略部 課長代理 鶴澤義章氏
SOMPOホールディングスは、さまざまなパートナーとの提携や最先端のデジタル技術を
戦略的に活用し、「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現を目指しています。本取組みでは、世界的にも注目されているブロックチェーン技術を活用したスマートコントラクトに着目し、保険分野における活用可能性を検証します。
■損害保険ジャパン
リテール商品業務部 課長代理 安藤聡昭氏
損保ジャパンは、デジタル革命による MaaSが生活インフラとなるスマート社会の実現や、産業構造の変革により急速に広がるお客さまの価値観や生活スタイルの変化に柔軟に対応するために、さまざまなパートナーとの共創や最先端のデジタル技術の活用により、新たなお客さま体験価値の向上と価値ある商品・サービスの創造を実現していきます。
■ナビタイムジャパン
メディア事業部 兼 トラベル事業部 部長 毛塚大輔氏
ナビタイムジャパンでは、マルチモーダル経路探索技術をもとに、徒歩、電車、バス、飛行機、車など、さまざまな移動手段から最適なルートを案内する、ドア to ドアのルート案内アプリ「NAVITIME」等を提供しています。
これまでも本技術を活かし、多様化する次世代モビリティの普及や MaaS領域の課題解決に向けて、サービス連携や研究開発を進め、より快適な移動を実現できるよう努めてまいりました。
本取組みでは、ユーザーの皆さまに、移動時の不便や不安な体
験時に、新たな付加価値を提供することによって、少しでも快適な移動をサポートできればと考えています。
■LayerX
執行役員兼 LayerX Labs 所長 中村龍矢氏
LayerXはブロックチェーン技術等のテクノロジーを活用した経済活動のデジタル化を推進しています。また、ブロックチェーンの社会実装を推進すべく研究開発組織「LayerX Labs」を立ち上げ、昨今急速な盛り上がりを見せている「スマートシティ」を主要研究開発テーマのひとつにしております。
本実証実験は、スマートシティの中でも最重要パーツのひとつである MaaS 領域におけるブロックチェーン技術の活用、また保険会社において大量の紙のやり取りが残る事故情報の収集・査定ならびに保険金支払業務の自動化を試みる、従来の業務プロセスを大きく変革する可能性のある取組みです。
本取組みを通じて、保険会社における経済活動のデジタル化を一層推進してまいります。